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ポシュナー, マルクス(1971-)

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    ブルックナー:交響曲第3番(1873年初稿・ノヴァーク版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第5弾。今回リリースされるのは、ブルックナーの交響曲の中で異稿が最も多い「交響曲第3番」の初稿(1873年作曲)です。楽譜はノーヴァク版を使用。第3番の各稿の中では初稿が最も長く、また「ワーグナー」のニックネームの由来であるワーグナーの楽劇から引用したモチーフが最も多く使われており、独自の魅力となっています。しかし、今では信じられない話ですが、初演のためのリハーサルに臨んだウィーン・フィルから「演奏不能」と宣告されてしまい、初演は行われませんでした。その後の改訂稿に比べると「整理が付いていない」「作曲法が練れてない」とされることもある初稿ですが、ブルックナーの革新的な着想がよりオリジナルな形に留められていることから評価する声も強く、演奏・録音の機会は着実に増えています。マルクス・ポシュナーとウィーン放送交響楽団による演奏は、特に速い楽章では速めのテンポを採り、若々しい気概を感じさせます。一方緩徐楽章ではしっかりとテンポを緩め、しっとりとした情感や先に進むのを戸惑うような風情を醸します。第3番第1稿再評価の転機をもたらしたインバル/フランクフルト盤の演奏時間(23:59/18:53/06:09/16:17)と比べると、特に前半2楽章において顕著な違いがあり、イメージがかなり異なる演奏となっていることが想像できるでしょう。(2022/09/09 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8086

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    ブルックナー:交響曲第3番(1877年稿・ノヴァーク版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの全交響曲のすべての稿を録音する企画 「#bruckner2024」の第16弾。ブルックナーがワーグナーに献呈したことで「ワーグナー」のニックネームを持つ第3番には3つの稿があり、改訂の度に全体は短くなって、ワーグナー作品からの引用は削られてゆきます。第3稿の完成時にはブルックナーは第5番まで書き終えており、その経験が反映されていますが、この経過を「完成度を高めた」と取るか、「オリジナリティが減じた」と取るか、研究者でも評価が分かれます。CAPRICCIOの#bruckner2024では3つの稿すべてに加え、第1稿と第2稿の間に作曲された1876年のアダージョも収録(ノーヴァクが「アダージョ2」と命名したもの)。これで第3番創作と改訂の軌跡を同一指揮者の解釈でたどれることとなりました。ポシュナーの解釈は重々しいサウンドやテンポから決別し、見通しよく、細部の指示をわかりやすく音にしてゆく姿勢で当初から一貫してきました。1876年のアダージョにはティントナーやヴァンスカの録音があり、いずれも演奏時間20分を越えますが、ポシュナーは約16分。瞑想性よりも清らかな抒情が感じられます。それでも第2稿(1877年)の第2楽章(アンダンテ…クワジ・アダージョ。演奏時間約14分)と比べると、この微妙なテンポ指定の違いをしっかりと認識して指揮していることがわかります。こうした態度は、異稿の録音が集積された今こそ意義や効用があらためて実感されることでしょう。ブルックナー研究家のウィリアム・キャラガンはブルックナーの異稿について「自分の好み、理想の姿、究極の形を探すのはやめよう。すべてのスコアには価値がある。特に第3番は傑作だ。どのような姿であろうとも」と語っており、その言葉に感じるところのあるファンには是非聞いて頂きたい1枚です。(2024/06/07 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8095

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    ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1878年稿・コーストヴェット版)(ポシュナー)

    「#bruckner2024」の第4弾。「ロマンティック」のニックネームを持つ人気曲、第4番の登場です。ここで取り上げられているのは第4番の使用楽譜として最も一般的な第2稿(いわゆる1878/80年稿)で、新ブルックナー全集として出版されているベンジャミン・コーストヴェット校訂のもの(Korstvedt NBG III/1: 4/2、2019年出版)が使われています。また1878年にブルックナーが第2稿を完成させた際のフィナーレである「民衆の祭り Volksfest」と呼ばれる楽章も追加で収録し、CDのプログラム機能を使えば第2稿の最初の姿を聞くことが出来るようになっています。ポシュナーは今回も引き締まったテンポを基調としつつ(各楽章の演奏時間はヴァント/ベルリン・フィル盤に比べて第1楽章が1分遅い程度でほぼ同じ)、緩急・強弱の幅を大きめに取りドラマティックな音楽に仕上げています。また「民衆の祭り」の演奏時間はフルシャ盤の17:57に比べてだいぶ速く、聞き比べも興味深いことでしょう。【#bruckner2024について】ウィーンを拠点とするレーベル「Capriccio」がブルックナー研究の第一人者でイェール音楽大学院のポール・ホークショーの監修の下、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までに全交響曲のすべての稿を録音するというプロジェクトです。少なからぬ曲で目下刊行が進んでいる新ブルックナー全集(NBG)の楽譜が使われる予定。指揮者には全曲を通じてマルクス・ポシュナーを、オーケストラはポシュナーの手兵リンツ・ブルックナー管弦楽団を主体にウィーン放送交響楽団も起用。今後は22年秋に第3番の第1稿(1873年稿、ノーヴァク版)が、また年末までに第8番の第1稿(1887年稿、ホークショー校訂による新全集版)が予定され、ブルックナー・ファンにとっては目と耳の離せないシリーズとなりそうです。                                                            (2022/05/13 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8083

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    ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1888年稿・コーストヴェット版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第8弾。先に発売されて好評の第1稿と第2稿に続き、当CDで交響曲第4番の3つの稿が最新のコーストヴェット版で揃いました。第4番の第3稿はブルックナーが弟子のレーヴェやシャルク兄弟らの意見をきいて改訂したことから「改ざん版」などと呼ばれた時期もありましたが、コーストヴェットはそのような見方を排し、第3稿を実際の演奏経験を経た上でブルックナー自身による実用的な改訂版と位置付けています。ポシュナーは速めのテンポを基調にしつつ、緩急の差をはっきりと付けるなど曲想の変化を明瞭に打ち出してゆき、コーストヴェットの考えを音として立証しています。ポシュナーの指揮で揃った第1稿及び第2稿との聞き比べに加え、フルシャ/バンベルク響やヴァンスカ/ミネソタ管など第3稿を採用した他の演奏といった聞き比べの楽しみも広がりそうです。(2023/05/12 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8085

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    ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1876年稿・コーストヴェット版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第6弾。今作でポシュナーが取り上げたのは人気曲第4番「ロマンティック」の第1稿です。ブルックナーの交響曲の中でも人気と演奏頻度の高い第4番「ロマンティック」には3つの稿があり、ここでは第1稿をとりあげ、最新のコーストヴェット校訂版(出版準備中)で演奏。発見の多い一枚です。交響曲第4番の第1稿といえば、従来は1874年の1月から11月に作曲されたもの(1874年稿、ノーヴァク校訂)を指していました。しかし、ブルックナーはその後、1876年に予定された初演のために改訂を行っています。初演は幻に終わりましたが、最新版のブルックナー全集の校訂者コーストヴェットは、この改訂をもって第1稿の完成とみなし、この録音ではその楽譜が使われています。ノーヴァク版1874年稿とは異なる点が少なからず聞かれます。『レコード芸術』特選となった第4番第2稿(NYCX-10304国内仕様盤/C8083輸入盤)のように、ポシュナーは引き締まったテンポによる推進力ある音楽作りを基本に、緩急強弱の幅をしっかりと取り、ブルックナーの工夫を丹念に音にしてゆきます。熱心なファンならば同じ稿を使ったと思われるフルシャ/バンベルク盤との比較も気になるところですが、その演奏時間(20:55/18:47/12:45/19:56)に比べるとポシュナーの第1楽章と第4楽章のテンポがかなり異なることが想像され、聞き比べも興味深いことでしょう。(2022/11/11 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8084

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    ブルックナー:交響曲第5番(1878年稿・ノヴァーク版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(ヴァージョン) を録音しようという企画、 「#bruckner2024」第10弾。稿の問題の無い第5番ではノーヴァク版を使用。1908年にアルミン・クナープがいち早く指摘した通り「冒頭の22小節に作品全体の主題と動機の原形がすべて詰まって」いて、それらを素材に構築された壮大な対位法の織物を、ポシュナーはしっかりと音にして伝えてくれます。約71分という演奏時間はやや速めのテンポを思わせますが、フレージングやアーティキュレーション、アクセントを細かく丁寧に処理しているため、「速さ」が前面に感じられることはありません。神秘的、瞑想的、時にメランコリックなコラール風の旋律はしっかりと腰を据えて聴かせます。ポシュナーはフィナーレをクライマックスととらえているようで、ヨッフム/ドレスデンやヴァント/北ドイツ放送響とほぼ同じタイムをかけた第4楽章は特に聴きものとなっています。(2023/11/10 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8090

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    ブルックナー:交響曲第7番(ホークショー版)(ウィーン放送響/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導でブルックナーの交響曲全11曲全18ヴァージョン(稿)を録音する企画 「#bruckner2024」に名作の誉れ高い第7番が登場。新校訂版の使用と、ポシュナー&ウィーン放送響の高度に洗練された演奏にも注目です。ICMA(International Classical Music Award)2024の特別賞「Spcecial Achivement Award」を受賞、「私たちが習慣にしてきた聴き方と伝統と見なしてきたものを問い直す」と讃えられた#bruckner2024。第7番ではポール・ホークショーによる新校訂版(NBG III/1: 7、2024年2月時点で未出版)を使用しています。アルトゥール・ニキシュやヘルマン・レヴィが「ベートーヴェン亡き後に書かれた交響曲の中で最も重要なもの」等と高く評した第7番は、早くに成功を収めたこともあり、稿は一つしかありません。しかし、ウィーン国立図書館に所蔵されている自筆総譜(整理番号 Mus.Hs 19479/1-3)には、1883年9月の完成から1885年に印刷用の彫版を起こすまでの間に書き込まれた追加や変更が少なからずあり、作曲家が意図した最終形を読み取る上での課題となって来ました。ハースは曲が最初に完成した時の姿を求め、ブルックナー自身によるものも含めて後から書き加えられた部分を除去し、ノーヴァクは取捨選択の上で(しばしばカッコに入れるなどして)加筆部分を盛り込んでいますが、そこにはブルックナー以外の人物による加筆も含まれています。新ブルックナー全集の編集主幹で#bruckner2024の監修者でもあるホークショーは、上記自筆総譜においてブルックナー自身が書いたか、承認したとされるものをすべて盛り込むべく努めたと当CDの原盤解説(英語とドイツ語)で書いています(第2楽章クライマックスではシンバルとトライアングルが効果的に用いられています)。詳細は楽譜出版と校訂報告を待たねばなりませんが、演奏上の選択肢が複数提示されている箇所もあると思われます。ポシュナーとウィーン放送響の演奏は、速めのテンポを基本としつつも曲想に応じて細かに操作している点と、緩徐楽章ではしっかりと時間をかけて祈りに似た抒情を紡ぎ出している点、その結果曲全体としてバランスが取れた姿になっていることは従来通りですが、細部の磨き上げが更に高められた印象があります。一つ一つのフレーズのダイナミクス、テンポ、リズムを吟味して極めて高精度で音にしてゆき、それでいて煩雑さや息苦しさの無い、良く流れて弾力のある音楽となっています。分厚い響きと遅めのテンポによる往年の巨匠風ではなく、スリムな響きと強調されたアクセントを多用するピリオド風スタイルでもなく、現代オーケストラの機能の高さを存分に活かして曲の姿を繊細かつ緻密に浮き上がらせた演奏ということが出来るでしょう。ポシュナーは2018年に録音されていた第8番(第2稿)を除く11の交響曲(計17の稿)を2021年からの3年間で録音しており、演奏を担ったウィーン放送響もリンツ・ブルックナー管もあまり演奏されない稿や新しい校訂版の楽譜に取り組む中で「読む力」を高め、この作曲家の語法が浸透してきた感があります。当シリーズも残すは習作のヘ短調、第1番(第2稿)、第3番(第2稿)、そして第9番の4曲。今後は毎月のようにリリースが予定されており、完結が見えてきました。(2024/04/05 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8091

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    ブルックナー:交響曲第8番(1887年稿・ホークショー版)(リンツ・ブルックナー管/ポシュナー)

    CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画、 「#bruckner2024」の第7弾。今回は第8番の第1稿で、2022年に出版されたばかりのポール・ホークショー校訂版にもとづく録音となります。ブルックナーが交響曲第8番の作曲に着手したのは1884年夏。同年12月に第7番の初演が大成功を収め、自信を深めた彼は1887年8月に第8番(第1稿)を完成。第7番のミュンヘン初演を成功させたヘルマン・レヴィに初演を託しますが、レヴィはスコアを吟味した結果これを辞退。ショックを受けたブルックナーは全面的な改訂に取り掛かり、1890年に第2稿を完成させます。これは1892年に初演されて好評を得ましたが、その陰で第1稿は埋もれてしまいました。ブルックナー生誕130年の1954年5月2日にはオイゲン・ヨッフムの指揮で第1稿の第1楽章が初演されましたが、全曲初演は1973年9月2日(ハンス・フーベルト・シェーンツェラー指揮)を待たねばならず、その後も第1稿が「市民権を得た」と言える状況にはなりませんでした。第1稿と第2稿の違いは大きく、第1楽章の最後を第1稿はフォルテ3つのコーダで力強く締めくくりますが、第2稿はが息絶えるようにして終わります。スケルツォのトリオは同じモチーフによるものの音楽は全面改訂され、第2稿のアダージョとフィナーレでは第1稿にあったいくつものパッセージが削除されています。ポシュナー指揮による演奏時間は第1稿が82:06、第2稿が76:12となっています。多くの人が「まとまりが良いと感じる」のは第2稿でしょうけれども、第1稿はブルックナーが最初に出した結論で、彼が描こうとしたヴィジョンが豊富に盛り込まれています。第1稿が国際的に注目されたのはインバル指揮フランクフルト放送響の初録音(1982年)で、その後いくつかの録音が発表されてきましたが、それらは1972年に出版されたノーヴァク版によるものでした。ホークショーによれば、当録音に使われた彼の校訂版は、テキストの細部やアーティキュレーションにおいてノーヴァク版との間に少なからぬ相違があるとのことです。(2023/02/10 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8087

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    ブルックナー:交響曲第8番(1890年稿・ノヴァーク版)(リンツ・ブルックナー管/ポシュナー)

    「私たちはリハーサルの過程で、ブルックナーの交響曲の中にこれほどの爆発力や明るい色彩、とてつもない大胆さがあることに何度となく驚きました ??それにはスコアをいったん疑い、間違った伝統と真の伝統を区別する必要があったのです。」??マルクス・ポシュナーブルックナーは交響曲を一旦完成させてからも、さまざまな理由で手を加えることがあったために、同じ作品にいくつもの異稿・異版が存在する場合があり、これらの違いを聞いて楽しむのも熱心なブルックナー・ファンにとって大いなる喜びとなっています。2024年はブルックナーの生誕200年にあたり、これを記念してブルックナーのすべての交響曲のすべての稿(バージョン)を録音しようという企画「#bruckner2024」の第2弾が早くも登場。最高傑作ともいわれる第8番(1890年版)です。ポシュナーは、速めのテンポを採り全曲を約77分にまとめています。全体として引き締まった演奏ですが、第1楽章と第3楽章ではオーケストラを重厚に響かせているため、軽い印象を与えません。また緩急・強弱の幅を大きくとっていることと、随所に現れる民謡や民族舞曲に似た部分を強調しているのもこの演奏の特徴。管楽器の浮き上がらせ方などに独自の工夫もうかがえます。使用楽譜自体はよく知られたノーヴァク版ですが、演奏に際しては緻密な読み直しが行われたことが推察されます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・#bruckner2024についてウィーンを拠点とするレーベルCapriccioがブルックナー研究の第一人者でイェール音楽大学院のポール・ホークショーの監修の下、ブルックナーの全交響曲のすべての稿を録音するというプロジェクトです。少なからぬ曲で目下刊行が進んでいる新ブルックナー全集の楽譜が使われる予定。指揮者には全曲を通じてマルクス・ポシュナーを、オーケストラはポシュナーの手兵リンツ・ブルックナー管弦楽団を主体にウィーン放送交響楽団も起用。今後は22年1月に第0番(ノーヴァク版)、22年5月に第4番1878/80年稿(新全集Korstvedt NBG III/1: 4/2)と続き、ブルックナー生誕200周年の2024年に完結の予定。ブルックナー・ファンにとっては目と耳の離せないシリーズとなりそうです。(2021/11/05 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8081

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    ブルックナー:交響曲第9番(1894年初稿・ノヴァーク版)(リンツ・ブルックナー管/ポシュナー)

    【#bruckner2024、遂に完結。最終巻はブルックナーの交響曲の最初と最後を一堂に収録】CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導でブルックナーの交響曲全11曲全18バージョン(稿)を録音するプロジェクト、#bruckner2024が遂に完結。同一指揮者による全稿録音は史上初の快挙ですが、最新の知見を援用した解釈と、ブルックナーの細かい指示を丹念に踏まえたポシュナーの指揮によって新たなブルックナー像を提示することに成功。「私たちが習慣にしてきた聴き方と伝統と見なしてきたものを問い直す企画」としてICMA(International Classical Music Award)2024の特別賞を受賞しました。最終巻にはブルックナーの交響曲創造の出発点となった交響曲ヘ短調(別名「習作交響曲」、通称「第00番」とも)と未完の遺作となった第9番を収録。どちらも異稿は無く、使用楽譜はノーヴァク版ですが、このプロジェクトに一貫する「スコアの読み直し」によって新鮮なサウンドと解釈が聞かれます。ヘ短調の交響曲はブルックナーが作曲の師キツラーに提出した最終課題の一つ。ブルックナー自身はこれを出版することを考えていた形跡があり、自信作であったことがうかがわれます。ポシュナーはリピートを省いているので全曲の演奏時間は34分弱。インバル盤(Teldec、現Warner)の46分余りに比べてだいぶ短くなっていますが、シューマンやメンデルスゾーンに連なるドイツ・ロマン派の風合いを感じさせる、颯爽としてチャーミングな作品として独自の魅力を提示しています。ブルックナーは1887年に第8番第1稿を完成させた後すぐに第9番の作曲に取り掛かりましたが、第8番第1稿が初演拒否されるとこれの改訂に取り掛かり、合わせて第1番、第3番、第4番、ミサ曲へ短調の改訂にまで手を伸ばしました。1889年に第9番に戻ったブルックナーですが、途中で詩篇第150篇とヘルゴラントを作曲したためまたも遅延し、完成させることなく世を去りました。第4楽章にはかなりの部分の断片が遺されており、少なからぬ数の補筆完成の試みがなされていますが、#bruckner2024ではブルックナー自身が関与してないものは対象外とするため、後世の補筆完成版は対象外となります。第9番第1楽章は楽章を構成する主要動機がすべて導入部において提示されますが、ポシュナーはそれら個々の動機をわかりやすく示すことで楽章を貫く緊密な構成を明らかにしてゆきます。従来のブルックナー演奏においては、テンポをあまり細かく動かさず(または動かしたと感じ取らせず)、また教会で聴くオルガンや合唱のように丸く溶け合った響きを求めるなど、その作品を神聖視するあまり教会音楽的に演奏する傾向もありましたが、ポシュナーは作曲者のテンポや強弱記号を仔細に読み込んで反映し、民謡や民俗舞曲に由来するルーツ・ミュージック的な要素もしっかりと打ち出しており、その上でスケルツォの峻厳さやアダージョの浄化されるような美しさをシンフォニックに提示しています。ブルックナー交響曲年譜と収録CD(作曲の終了や初演など、ある段階の完成と見なせる年を表記)1824年9月4日 ブルックナー生誕1863年 ヘ短調 NYCX-10477(C8096)(第9番とのカップリング)1865年 第1番スケルツォ旧稿 NYCX-10469(C8094)1866年 第1番(第1稿) NYCX-10443(C8092)1869年 ニ短調(第0番) NYCX-10274(C8082)1872年 第2番(第1稿) NYCX-10449(C8093)1873年 第3番(第1稿) NYCX-10332(C8086)1876年 第4番(第1稿) NYCX-10354(C8084)1877年 第2番(第2稿) NYCX-10414(C8089)1877年 第3番アダージョ第2番 NYCX-10474(C8095)1877年 第3番(第2稿) NYCX-10474(C8095)1878年 第5番 NYCX-10435(C8090)1878年 第4番(第2稿 / 旧第4楽章「民衆の祭り」) NYCX-10304(C8083)1880年 第4番(第2稿 / 新第4楽章) NYCX-10304(C8083)1881年 第6番 NYCX-10236(C8080)1883年 第7番 NYCX-10364(C8091)1887年 第8番(第1稿) NYCX-10373(C8087)1888年 第4番(第3稿) NYCX-10397(C8085)1889年 第3番(第3稿) NYCX-10454(C8088)1890年 第8番(第2稿) NYCX-10258(C8081)1891年 第1番(第2稿) NYCX-10469(C8094)1896年 第9番(未完) NYCX-10477(C8096)(交響曲ヘ短調とのカップリング)1896年10月11日 ブルックナー没#bruckner2024の特色・ブルックナーの11の交響曲にある全ての稿(バージョン)を録音。・ブルックナー研究の第一人者でイェール大学名誉教授のポール・ホークショーが監修。・演奏はマルクス・ポシュナー指揮、リンツ・ブルックナー管弦楽団とウィーン放送交響楽団。・一部の曲で新ブルックナー全集 (NBG) の楽譜を使用 (未刊行のものを含む)・輸入盤の解説はポール・ホークショー (英語・ドイツ語)、国内仕様盤には国際ブルックナー協会会員の石原勇太郎氏の日本語解説が付属【#bruckner2024へ寄せて】石原勇太郎(音楽学/国際ブルックナー協会会員)2024年は生誕200年を迎えるブルックナーのアニバーサリー・イヤーです。それに合わせて、これまでにも多くのCDが発売されてきました。それぞれの演奏がブルックナーの様々な側面を照らしてくれていますが、その中でも#bruckner2024プロジェクトはこれから作られていくブルックナー受容の新しい歴史の幕開けに相応しいものなのではないかと感じています。このプロジェクトの一環として発売されてきたCDに収められたポシュナーと二つのオーケストラによる演奏は、多くの音楽ファンを驚かせていることと思います。彼らの演奏は、私たちが「ブルックナーらしい」と感じる/考えている一種の固定観念を打ち砕いてくれます。いくつかの交響曲で使われている新しい校訂版(NBG)の出版が進められているように、ブルックナー研究は新時代へと移り変わりつつあります。しかし、残念ながらブルックナーの演奏様式はほとんど進歩していないと言わざるを得ません。J.S.バッハやベートーヴェンといった作曲家の演奏様式が次々と見直されている時代であるにも関わらず、ブルックナーだけは遺物のように、後付けの「らしさ」が残されているのです。ブルックナーはなにも特別な作曲家ではありません。ベートーヴェンやショパン、チャイコフスキーや武満と同じ一人の音楽家です。であればこそ、ブルックナー作品にも新しい解釈の可能性は十分に残されているはずなのです。#bruckner2024はそのことを私たちに気づかせてくれる重要なきっかけとなり得るでしょう 。【当プロジェクトにおけるブルックナーの交響曲の「稿」について】ポール・ホークショー(イェール大学名誉教授)アントン・ブルックナーの音楽の愛好家のみなさんは、当プロジェクトで収録されるブルックナーの交響曲の稿が全部で18しかないことを不思議に思うかもしれません。20世紀半ば以来、音楽雑誌やレコード業界のマーケティングによって、彼がもっと多くの稿を残したかのような誤ったイメージが作られてしまったのです。ブルックナーのすべての自筆資料のあらゆる変更を特定しようとする音楽学的な関心の結果、彼自身が明確に「稿」と捉えていたものに至る途中で行われた修正まで含めた版がやたら増えてしまったのです。本来こうした修正は、スコアではなく、校訂報告に含めるべき情報です。また、レコード・プロデューサーたちが新しいリリースのたびに、ハース版かノーヴァク版かを表記することにこだわったために、この二人の学者がブルックナーの1番から9番まですべての交響曲について明確に異なる版をそれぞれ出版したかのような誤解を与えてしまいました。実は、交響曲第8番の第2稿を除けば、ハースとノーヴァクの版はかなり似通っているのです。本全集を収録するにあたって、演奏者たちは目下オーストリア国立図書館の後援の下で準備されている『新アントン・ブルックナー全集』の校訂者たちが決めた「稿」の定義を採用しています。新全集では、ブルックナーの交響曲のそれぞれの「稿」を、彼の歴史的な節目??「たとえば交響曲の演奏、出版、または献呈など、ある作品について彼がひとつの段階を終えたことを示す出来事」??によって区別しています。したがって、本録音では、新全集の校訂者たちが同定した「稿」が収められており、各CDの原盤解説には、その特定の「稿」を同定した理由について詳しく論じています。この録音には、作曲者の関与なく出版された初版楽譜 ??いわゆるシャルク、レーヴェなどのもの??は含まれていません。わかっている限りでは、ブルックナーが同意した初版楽譜は、第3番、第4番、第7番のみであり、それらの内容は、本セットでは最終稿(もちろん第7番はひとつしか稿がありませんが)の楽譜に組み込まれています。可能な限り、演奏は新ブルックナー全集のためにすでに完成しているスコアとパート譜に基づいています。【マルクス・ポシュナー、ブルックナーを語る】ブルックナーは私にとって、別世界への入り口といえる存在です。子どもの頃、父が私にブルックナーの合唱曲を教えてくれた時から、ずっとそうでした。なかでもグラドゥアーレ《神が作り給いし場所》は、私を惹き付けると同時にいら立たせました。こうしたブルックナーの音楽に対する複雑な思いは、今も変わりません。魅了され、心動かされながらも、動揺させられるといった具合です。彼の作品は音楽的な謎に満ち、また神秘と深遠さに満ちています。彼のものごとに対する見方は独特で、ラディカルでさえあります。私が思うには、ブルックナーはその交響曲において永遠性を見上げると同時に、完全に内なる世界へも目を向けています。その一方で地に足がついていて、オーバーエスターライヒ地方の伝統(ポルカとコラール、飲み屋と教会)にしっかりと根ざしていました。極端な対比の組み合わせという点では、エクスタシーと神秘性を組み合わせたメシアンやリゲティに先んじていました。ブルックナーの音楽は今なお挑発的で、未完で、論議を呼び、因襲的ではなく、ラディカルであり、したがってモダンかつ時代を超えるものといえるでしょう。私たちはリハーサルの過程で、ブルックナーの交響曲の中にこれほどの爆発力や明るい色彩、とてつもない大胆さがあることに何度となく驚きました。それにはスコアをいったん疑い、間違った伝統と真の伝統を区別する必要があったのです。(2024/07/05 発売)

    レーベル名:Capriccio
    カタログ番号:C8096