フィリドール, アンドレ・ダニカン(1652-1730)
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【一体感と自発性。ヴェルサイユに集う本場最高峰の古楽奏者勢が聴かせるリュリの至芸】21世紀のフランス古楽界で実力ある音楽家たちと信頼関係を深めながら、声楽指揮者として着実に存在感を高めてきたステファーヌ・フュジェ。Chateau de Versailles Spectaclesレーベルでは太陽王ルイ14世の王室音楽総監督リュリが残したグラン・モテ(大規模な器楽合奏と合唱で演奏される教会音楽)の体系的録音を進めてきましたが、第4作となる今回のアルバムでは王室祝賀行事など晴れがましい場面で愛奏される、リュリの傑作『テ・デウム』(リュリはこの作品の演奏中拍子をとる杖で自らの足を傷つけ、これが元となり2か月後に亡くなりました)を中心とする選曲が見逃せません。華やかな金管の吹奏で始まる冒頭部(少し後にシャルパンティエも同種の傑作でこの手法を踏襲しています)が印象的なこの作品の演奏に際し、フュジェはその頃の習慣を踏まえてルイ14世の入場を暗示するティンパニとトランペットを使った当時の祝典音楽でアルバムを開始。レザ―ル・フロリサンやレ・タラン・リリクなど古楽シーン最前線の楽団を支えてきた名手マリー=アンジュ・プティの鮮烈な撥捌き、野趣と気高さを兼ね備えたマドゥーフ兄弟らのナチュラル・トランペットの吹奏が導くリュリ作品の解釈は緩急自在、後続の詩篇第19篇と共に細部まで深い味わいをよく引き出してやみません。総勢50に上る合唱はヴェルサイユ・バロック音楽センターの合唱団に加え、フュジェの楽団レゼポペーのソリストたちが小合唱を構成。こちらもクレール・ルフィリアトルやシリル・オヴィティなど実力派が揃い、24人の弦楽器奏者に多くの管楽器奏者と鍵盤・撥弦各2名が加わる器楽勢と共に、いかなる局面でも精緻な音作りで自発性豊かな演奏を聴かせてくれます。(2024/03/08 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS117 |
【若き感性が先入観なく探りあてる17世紀前半のフランス王室音楽の真相】ルイ14世による本格増築が始まるずっと前、狩猟場の逗留地としてヴェルサイユ宮殿を建てた1623年頃にフランス王ルイ13世の宮廷を賑わせていた作曲家たちの音楽を集め、宮殿落成を祝う祝典音楽ミサを仮想再現したプログラム。ルイ13世の王室礼拝堂で活躍したフォルメのミサ曲を中心に、南仏生まれのブジニャックによるモテ(合唱曲)やノルマンディのオルガン奏者=作曲家ティトルーズのオルガン独奏曲、ルイ14世の王室音楽家フィリドールの筆写譜で残っているルイ13世時代の祝典音楽を組み合わせた的確な選曲が、在りし日の王室の祝典の場に居合わせたような音楽体験をもたらしてくれます。合唱は、フォーブルドンによる和声唱法など当時の教会音楽実践テクニックと発音を徹底再現。指揮のジャン=バティスト・ニコラは1994年生まれ、演奏陣もパリ地方音楽院で古楽を学んできた若年世代中心という瑞々しいアンサンブルが響かせるバロック金管中心のサウンドは、17世紀の流儀に従い弦楽編成を控えめにしていることもあり実に新鮮。味わい豊かな合唱と共に迫力十分な大編成の響きと、精緻なオルガン独奏が織りなすコントラストが実に美しい本格古楽アルバムです。(2024/10/18 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS140 |
パンパカパ~ン♪と68分28秒、17世紀のものから21世紀のもの(ちなみに73は2001年9月11日の同時多発テロの犠牲者に捧げられた作品)まで、百花繚乱に歌い上げられるラッパの響きをずっと聴き続けていると、まさにファンファーレという一つの「文化」を通じて、歴史を眺めているかのような気がしてきます。ラッパという楽器は誕生以来、その輝かしく、素朴に聴くものの心に訴えかけるという、生まれながらの音の特性ゆえに、政治・軍事からスポーツ・競馬などの各種行事に至るまでの、人間の様々な営みと分かち難く結びついて、今日に至っているのです。そんな事実にも改めて気付かされる、ユニークな1枚です。(2003/07/01 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.555879 |
オーケストラにおける打楽器の花形といえば、やはりティンパニ。太鼓系打楽器としては、音程を持ったメロディーを鳴らせるほとんど唯一の存在として、様々なオーケストラ曲で独奏的な役割を与えられることも少なくありませんが、ホンモノの独奏楽器として協奏曲を仕立て上げたらどうなるか?といった1枚です。ボヨンボヨンとあらぬところから、無理っぽくメロディーが鳴り響いてくるのはなかなか珍なる感覚、特にその動きが細かくなればなるほど、思わず頬が緩んでしまいそうな微笑ましさを感じさせてくれます。独奏者自身の作によるいくつかのカデンツァも気合が入っており、そちらも聴きモノとなっています(しかも叩き振り!)。(2005/09/01 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.557610 |
【管楽器の王国フランスの源流!周到な検証を経てルイ14世以前の管楽合奏に迫る名手たち】フランスの宮廷文化を、ヨーロッパ中の君主たちが注目する境地へ押し上げ、音楽の世界でも大きな貢献を果たした「太陽王」ルイ14世。その王室楽団において、室内楽団(シャンブル)と礼拝堂楽団(シャペル)と共に重要な3部門のうちの一つを担ったのが、主に屋外演奏を受け持つ吹奏楽団「大厩舎楽団(グランテキュリー)」でした。オーボエ属のダブルリード楽器が欧州中の宮廷楽団に採用されていった源流はここにありますが、そのさらなるルーツを17世紀初頭まで遡り、オーボエと呼びうる楽器の発祥期から最初の栄華まで、周到な検証のもと再現製作された様々な古楽器で辿る充実企画盤がRicercarから登場。総勢18名の演奏家たちは、エルヴェ・ニケ指揮によるヘンデル『王宮の花火の音楽』で楽器再現に携わり注目を浴びたドゥルツィアン(ルネサンス・バスーン)の名手ジェレミー・パパセルジオーを中心に、金管陣にはマドゥーフ兄弟も加わった俊才揃い。誕生まもない頃の貴重なモデルのオーボエやバスーン、17世紀フランス特有のクロモルヌ(ダブルリード楽器の一種、クルムホルンとは別物)無弁のナチュラル・トランペットなどに加え、レザール・フロリサンやシャンゼリゼ管弦楽団の数々の名演を彩った打楽器奏者マリー=アンジュ・プティが壮麗かつ絶妙なアクセントを添えてゆく音響世界はたいへんユニークで、過去の同種の企画盤の更なる先を行く最前線のピリオド管楽器アルバムとして出色の仕上がりを見せています。王室の歴史に関わる使用楽譜の出典詳細や使用楽器に関するライナーノート(英・仏語)の充実度も素晴しく、フランス管楽芸術のさらなる源流を知る上で見逃せない1枚です。(2022/04/08 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC439 |
【屋外向け吹奏楽団の演奏家たちが、太陽王の宮廷の「室内」で奏でた音楽とは?】バロック期のフランスで音楽文化を躍進させた立役者である太陽王ルイ14世の宮廷には、礼拝堂楽団や室内楽団の他にダブルリード楽器を携えた吹奏楽団(大厩舎楽団)が雇われ、主に軍楽や屋外での式典を彩る役割を与えられていました。とはいえ当時の音楽家は複数の楽器をプロとして演奏できるのが常で、大厩舎楽団の楽員たちもしばしばリコーダーやフラジオレットなどの笛を扱いながら、屋外ではなく城内での室内楽やオペラ上演にも動員され、当初こそ「騒々しい」と驚かれながらも、ついにはオーボエやバスーンも諸々の通奏低音楽器や弦楽器と共に繊細な音楽を奏で得ることを立証していったのでした。『大厩舎楽団の祝宴』と銘打った2022年のアルバム(RIC439)で彼らの屋外吹奏楽のレパートリーを披露した古楽器楽団シンタグマ・アミーチは今回、この大厩舎楽団が室内空間に動員された時どのような音楽を披露したか、入念に再現製作された当時の楽器と共に探ってゆきます。王の起床時から就寝時まで、ヴェルサイユ宮殿の随所に響いたオーボエ、リコーダー、クロモルヌ(クルムホルンとは異なるダブルリード管楽器)、バスーンといった管楽器が奏でるのは、王室音楽総監督リュリのオペラからの抜粋やクープランの室内楽、シャルパンティエの宗教合奏曲、大厩舎楽団の演奏家を多く輩出したフィリドール一族の作品など多岐にわたる演目。この種の古楽器探求に優れた実績を示してきたエルザ・フランクとジェレミー・パパセルジオーをはじめとする名手勢が、芸術諸分野に通じたルイ14世を喜ばせた至芸を21世紀にありありと甦らせてくれる1枚です。(2024/02/23 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC458 |