ルメール, ジャン(1473-1515)
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ガナッシの『フォンテガラ』といえば、リコーダーを本格的に学ぶ人が必ず通るといっても過言ではないルネサンス変奏技法の必携書。いわばリコーダー世界のチェルニーかバッハかショパンか……というような存在で、その教本のなかで縦横無尽に解説されている装飾技法を学ぶことは、リコーダー奏者のみならずルネサンス音楽を演奏するプロにとって欠かせない過程のひとつといってよいでしょう。ただ観賞する側からすると、その著者ガナッシの存在感はいまひとつピンとこないところ。本盤の重要性はそこにあります。ラルペッジャータやエスペリオンXX、コンチェルト・パラティーノなど世界的なグループでの活躍をへて自らコンセール・ブリゼーを立ち上げた木管コルネット(ツィンク)の天才奏者ウィリアム・ドンゴワは、頼れる演奏仲間たちとともにガナッシの著作にあらためて立ち返り、そこに説明されている声楽作品を器楽で奏でる技法によって、ジョスカン、ビュノワ、ゴンベール...など、ガナッシの時代からみた「古典」ともいうべき15~16世紀の巨匠たちの声楽作品をあざやかに演奏してゆきます。装飾音を機微たくみに織り込みながら、さまざまな古楽器の音色を交錯させてゆく名手たちのなかには、Alphaレーベルでの数々の名盤で知られるバグパイプ&古楽笛奏者フランソワ・ラザレヴィチの名も……他にも欧州シーン最前線をゆく多忙な名古楽器奏者たちの名が続々。なにかと声楽偏重になりやすいのでルネサンスを敬遠してきた方々にも、この興奮必至の器楽合奏世界は是非お勧めしたいところ……ルネサンス名画の画集観賞にも合いそうです。国内盤は充実解説の日本語訳付。(2018/12/19 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC395 |
【多声音楽の発展を促したスザートの業績、欧州最前線の古楽プレイヤーたちと】ラ・カピーリャ・フラメンカやウエルガス・アンサンブルといったベルギー随一の古楽アンサンブルで活躍してきた実力派古楽歌手たちが結集、それぞれの曲は決して長くないものの、どれも精巧な多声の歌の魅力が凝縮されたポリフォニー傑作集を録音しました。テーマはティールマン・スザート、16世紀屈指の印刷業界人です。15世紀にヨーロッパで発展した活版印刷術が16世紀初頭に楽譜印刷に応用されるや、音楽は手書きで楽譜を書き写すしかなかった時代には考えられなかったほどの勢いで広範囲に届くようになりました。その大きな恩恵を受けたのが15世紀末~16世紀に活躍したフランス=フランドル楽派のポリフォニー作曲家たち。そして彼らの名声拡大に大きく寄与したのが、ヴェネツィアやアントウェルペン、パリなど多くの人々が行き交う大都市で活動していた出版業界人たち。おそらく自身も音楽家だったスザートはフランドル地方随一の国際的な港湾都市アントウェルペンに拠点を構え、クレキヨンやクレメンス・ノン・パパ、ゴンベールといった同時代のフランドル人作曲家たち、あるいはジョスカン・デプレのような往年の大御所たちの傑作を数々の曲集に編んで印刷、その普及に大きく貢献します。スザートによって選ばれた作品の確かさをじっくり、リュート独奏を交えながら堪能できるプログラムには「千々の悲しみ」や「森のニンフたちよ」など往年の名曲から、宗教曲・世俗曲を問わず仏・蘭・伊・ラテン語などさまざまな言語の佳品が並び、細部までよく整えられた演奏の確かさとあいまって、5世紀前の世界に軽々と私たちを誘ってくれる仕上がりになっています。(2023/10/06 発売)
レーベル名 | :Ramee |
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カタログ番号 | :RAM2205 |
【ルネサンス教会音楽の巨匠による世俗歌曲を、独自のリュート伴奏で】ジョスカン・デプレといえば、ルネサンス多声音楽の世界に全盛をもたらしたフランス=フランドル楽派(ネーデルラント楽派)のなかでも最大級の巨匠。ア・カペラによる教会音楽でポリフォニー音楽の可能性を極限まで追求した大家ですが、その一方で、俗世向けの歌も数多く書いていたことは意外に知られていません。教会音楽と同じく多声で書かれた、フランス語の歌詞をとる世俗シャンソンが多いのですが、それらは歌い手をひとりに絞り、他のパートをリュートなどの和音楽器で編曲して演奏することもできます。本盤では欧州の新世代を担う二人の異才がまさに当時流のデュオ編成でジョスカン作品を厳選録音。南仏の古楽拠点のひとつリヨンから世に出たロマン・ボグレールの細やかな歌い口もさることながら、ジャズやロックなど広範な分野でも活躍するスロヴェニアのリュート奏者ボル・ズリアンはここで独自の楽器研究を反映。500年前の演奏実践を検証、フレットを三重巻にし適宜ピックのような小片を指につけて弾く「ブレイ(唸り音)・リュート」の再現を試みています。折々に独特の雑味ある倍音がアクセントを添えるその音色は、味わい豊かな造形美で現代人を魅了してやまないゴシック期のフランドル絵画にも通じる趣きが。詩句の響きが艶やかに映える独唱で、ジョスカン芸術の思わぬ側面に触れられる1枚です。国内仕様は訳詞・解説訳付。(2019/06/28 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC403 |
【クレマン・ジャヌカン・アンサンブル新録音は、没後500年のジョスカン!意外に録音のない世俗曲集】1980~90年代以来、ルネサンス期のフランス語声楽曲の面白さを紹介し続けたクレマン・ジャヌカン・アンサンブル。主宰者ドミニク・ヴィスは今もバロック・オペラの個性的なキャラクターで活躍していますが、アンサンブルとしての録音は数年ぶり。それも、彼らの音楽性や演劇的な存在が際立つフランス・ルネサンスのレパートリー、しかもジョスカン・デ・プレの世俗シャンソンをアルバム1枚かけて探求するという内容も嬉しいところです。ジョスカンはフランドル楽派が最も注目された15世紀後半~16世紀前半に活躍し、その絶大な名声がイタリアや北方まで欧州各地に及びました。現在、比較的大規模な教会音楽は多く録音される一方、もうひとつの中軸分野たる世俗シャンソンは体系的な録音がぐっと少なくなっています。今回の新録音は知られざる名作の数々はもちろん、本人の歿後に派生作が続々創られた「千々の悲しみ」の器楽版も含め、その重要な要素を網羅したと言ってよい選曲。最新の知見をふまえた解説とともに、フランス語圏の歌手たちならではの適性と豊饒な実践経験が活かされたアルバムに仕上がっています。(2021/01/15 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC423 |