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ウーリヒ, フローリアン

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    モール/ドホナーニ/R. シュトラウス:チェロとデュプレクス・ピアノによるソナタ集(シュトロンベルク/ウーリヒ)

    ピアノ・ファン注目、 デュプレクス・カプラー・グランド・ピアノによる世界初録音。2段鍵盤を持つ珍しいピアノを用いたアルバムの登場です。ハンガリーの作曲家でピアニストのエマヌエル・モール(1863-1931)が発明したこのデュプレクス・カプラー・グランド・ピアノ(以下デュプレクス・ピアノ)は2段式の鍵盤を持ち、上鍵盤は下鍵盤より1オクターヴ高く調律されています。片手で2オクターヴをカバーできるとともに、その構造から生まれる独自の音色が得られます。このピアノに触れたヴィルヘルム・バックハウスは「ピアノの歴史における最大の偉業」と称え、ブルーノ・ワルターも「この技術革新が素晴らしい作品を生むだろう」と予言しました。1921年に第1号が商品化されると、スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン、プレイエルらの大手ピアノ・メーカーも続々と追随しましたが、普及することなく、いつしか忘れられました。チェリストのダーヴィト・シュトロンベルクは、2台のチェロのためのレパートリーを探求していた2017年にエマヌエル・モールを知り、彼のチェロ作品をOehmsに録音し(OC1704)、その過程でモールの生涯とデュプレクス・ピアノに興味を惹かれて探究を続けました。2021年、遂に状態の良いデュプレックス・ピアノを見つけ、レストアを経てこの録音を敢行。冒頭に置かれたのは楽器の生みの親であるモールの作品。続くエルネー・ドホナーニは、この楽器を使ったコンチェルトで指揮をしている写真があることから選択。そしてリヒャルト・シュトラウスのチェロ・ソナタは、その疾風怒濤の音響世界がこの楽器に相応しいと考えて加えました。当時のモールは人気作曲家で、彼の作品はニキシュ指揮のベルリン・フィル、メンゲルベルク指揮のコンセルトヘボウ管、コルトー、クライスラー、イザイらが演奏し、カザルスは「真の天才」と称えました。しかし1918年を最後に作曲の筆を置き、デュプレクス・ピアノの開発に邁進しました。当CDではシュトロンベルクがモールの生涯とこの楽器をめぐって充実したライナーノーツを執筆しています(英語とドイツ語)。ピアノの歴史に関心を持つファンには手に取って頂きたい1枚です。(2023/04/21 発売)

    レーベル名:Oehms Classics
    カタログ番号:OC497

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    ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲/ブーランジェ:幻想的変奏曲/フランセ:ピアノ協奏曲(ウーリヒ/ゴンザレス)

    ドイツの中堅ピアニスト、フローリアン・ウーリヒが演奏するフランス近現代のピアノとオーケストラのための作品集。これは、2011年から2012年にかけて録音された「フランスのピアノ協奏曲集」(93.302)の続編ともいえる選曲であり、ブーランジェの「幻想曲」など、前作よりも更に珍しい作品が含まれています。フランセの協奏曲は全曲が20分に満たないコンパクトな作品ですが、ピアノが目まぐるしく動き回る楽しい第1楽章、穏やかな第2楽章、コケティッシュな第3楽章、活発な第4楽章と、メリハリのある楽しい構成でできています。「6人組」ただ一人の女性メンバー、タイユフェールのバラードも珍しい作品。美しいピアノのアルペッジョで始まる神秘的な曲です。教育者として名高いナディア・ブーランジェは、活動の初期には作曲も手掛けていましたが、妹リリの才能に勝てないと悟ったとして、1918年にリリが早世した後は、一切作曲をしませんでした。この幻想曲は彼女の残された僅かな作品の一つです。ウーリヒの演奏は、きらめくような音色が特徴的。フランス音楽が持つ微妙なニュアンスも余すことなく表現されています。(2017/03/24 発売)

    レーベル名:SWR Classic
    カタログ番号:SWR19027CD