アンサンブル・ダンギ
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ヴィヴァルディの『四季』は20世紀に劇的復権を遂げるよりはるか昔、18世紀のパリでも大人気でした。とくに「春」はモーツァルトが最初にパリを訪れた1764年にも公の場で演奏されていたほど。この人気を見逃さなかったのが、楽譜出版業界でも活躍をみせた音楽家シェドヴィル……ヴィヴァルディの既存作品の数々から切り貼りで『忠実な羊飼い』というソナタ集を(堂々ヴィヴァルディの作品13として)発表したこともある彼は『四季』を下敷に、同様の手法で編作した2曲を加えた全6曲からなる『楽しい四季』という曲集を出版。折しもパリのアマチュア音楽家たちのあいだで人気だった楽器ヴィエラルー(ハーディガーディ、弦をこする車輪をハンドルで回して弾く弦楽器)で有名曲を弾ける楽譜として成功を収めたこの曲集を、フランス・バロックの作曲家たちの作品集(『美しきヴィエル弾き』RIC382)でめざましい技巧を聴かせてくれた新世代ヴィエラルー奏者トビー・ミラーが室内楽編成で、隅々まで流麗な最新解釈で聴かせてくれます。古楽通には知られた曲集ながら詳細を知る機会も少ないところ、充実した解説(国内仕様では全訳付)もありがたい1枚です。(2019/02/13 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC398 |
【田園気分に浸るロココの響き、名手トビー・ミラーの真骨頂】木製の箱の端につけたハンドルで楽器内の車輪を廻し、その車輪が接する弦を擦ることで音を出す楽器ハーディガーディ。その歴史を中世まで遡れば知識人社会では一時廃れ、農村で伝承曲を奏でる楽器として辛うじて残りましたが、そのイメージが逆に牧歌的な理想郷での田園生活への憧れと結びついたのが18世紀のフランスでした。フランス語でヴィエラルー(車輪式ヴィエル)の名のもと、愛奏者の激増に合わせて上流階級向けの楽器が多く作られ、同時期に同じ事情で流行したミュゼットと共に多くの曲が誕生しました。21世紀にその名手として活躍、中世音楽からバッハの無伴奏曲までヴィエラルーで弾きこなす俊才トビー・ミラーはここで、独奏楽器としてのヴィエラルーの可能性の広さや声楽との相性を十全に示すべく、多角的な視点で作品を厳選。ミュゼット(演奏は横笛とバグパイプの名手ラザレヴィチ!)やヴァイオリンとの共演やヴィエラルー二重奏なども盛り込むことで、2017年にリリースした技巧派ソナタやカンタートを集めたアルバム(RIC382)とはまた異なる角度からロココのヴィエラルー芸術の面白さを堪能させてくれます。ふくよかで柔軟なミュゼットの音との対比も、同じ弦を擦るヴァイオリンとの特性の違いも聴きどころ。通奏低音付きソナタではトビー・ミラーが細やかな装飾音や急速なパッセージを流麗に弾きこなし、時に異界感さえ感じさせる曲作りの面白さと相俟って、伸縮自在の音作りでこの楽器の味わいを最大限に楽しませてくれます。楽器や音色の珍しさに全く甘んじない、圧巻の音楽性あればこその聴きごたえ。多くの人に届いてほしい21世紀ならではの古楽アルバムです。(2024/01/12 発売)
レーベル名 | :Ricercar |
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カタログ番号 | :RIC448 |