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ボナー, クリスティーナ

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    恋の詩~後期のマドリガーレとカンツォネッタ(ヴォーチェス・スアーヴェス)

    【モンテヴェルディやマレンツィオの先駆者、北イタリアのフランドル楽派の奥深さを古楽シーン最前線から】早くからフェラーラのエステ家やパルマのファルネーゼ家といったイタリアの文化的名家に見出され、後年はマントヴァのゴンザーガ家に仕え若きモンテヴェルディの同僚になった後期フランドル楽派の重要人物、ジャケス・デ・ヴェルト。ミュンヘンのバイエルン選帝侯家に仕えたラッススとほぼ同世代ですが、その活躍の舞台は主として北イタリアで(一時は神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世にも仕えていました)、貴婦人たちと浮名を流し醜聞も呼びながら、即興演奏と多声音楽作曲に長けた音楽家として時代に名を刻みました。マドリガーレは彼が大きな貢献を果たした曲種の一つで、年長の大家チプリアーノ・デ・ローレと後輩のモンテヴェルディやマレンツィオの間にあって、詩句の繊細な表現を音にして精巧な多声の綾へと織り込んでゆく技芸は多くの同業者たちにも刺激を与えました。タッソやグヮリーニといった詩人たちとの知遇を通じて育まれた明敏な感性は、後に14世紀の詩人ペトラルカの美しい詩を音楽化するにあたっての新しい視点にも繋がります。そうしたジャケス・デ・ヴェルト後年の充実作を重点的に集め、時にリコーダーやヴィオラ・ダ・ガンバ、撥弦楽器などを交えた自在な編成でこの作曲家の真髄に迫るのは、古楽研鑚の一大拠点バーゼルで学んだ俊才たちによるヴォーチェス・スアーヴェス。一本筋の通った多声音楽再現への情熱が、意外にも少ないこの作曲家単体でのアルバムを瑞々しくも確かな解釈で満たしています。イタリア後期ルネサンスの宮廷音楽に通じた音楽学の大御所イアン・フェンロンによるライナーノート(英・仏・独語)も端的かつ充実した内容。(2022/10/14 発売)

    レーベル名:Arcana
    カタログ番号:A536

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    ネーリ:様々な楽器のためのソナタ集(ヴォーチェス・スアーヴェス/コンチェルト・シロッコ/ジェニーニ)

    【コレッリ登場前のイタリアに花咲いた、驚くべきバロック・オーケストラ!】古楽奏者・研究者育成の世界的拠点バーゼル・スコラ・カントルムで研鑽を重ねた気鋭奏者が集うコンチェルト・シロッコとヴォーチェス・スアーヴェスは、イタリアのARCANAレーベルへの録音を通じてクローチェ、ベルナルディ、ピッキといった知られざる17世紀イタリアの作曲家たちを続々発掘、その優れた実績の再評価に寄与してきました。これほどの結束力と専門性を兼ね備えた17世紀音楽の演奏団体は決して多くはありませんが、今回のアルバムも既存盤全てと同じく、各楽器の個性がきわだつ小編成作品から、当時の演奏作法に通じた弦・管・鍵盤の名手が何人もいなくては実現不可能な大編成の充実作まで収録。巨匠モンテヴェルディ亡き後、歌劇作曲家カヴァッリが人気を誇った17世紀中盤のヴェネツィアで活躍したネーリの作品は、この“水の都”で器楽芸術が最初に発展した時代の面影を残しながらも、端正な気品を感じさせる整った曲構成が18世紀の音楽をも予感させ、12声部にも及ぶ大規模な合奏曲はヴィラールトやガブリエーリの複合唱形式にも、バロック後期のコレッリやヴィヴァルディの合奏協奏曲にも通じる音使いが聴かれ興趣が尽きません。小編成の作品も声楽・器楽共にコントラスト鮮やかな展開が聴き手を飽きさせず、生前のネーリがドイツ語圏や遠くスウェーデンまで名声を轟かせていたことを裏付けてあまりある面白さ。バーゼルの名手たちの妙技に聴き惚れながら、知られざるバロック中期の音楽世界に思いを馳せたい1枚です。研究に基づき、弦楽器などと管楽器はほぼ全音違うピッチを採用しており、管楽器が移調して演奏することで解決されています。(2023/04/14 発売)

    レーベル名:Arcana
    カタログ番号:A544