ビルケント交響楽団
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最近のビレットはますますその技巧に磨きをかけているようで、このアルバムから聞こえてくる音楽も芳醇の極みと言えるでしょう。まず、チャイコフスキーの秘曲、協奏的幻想曲は1884年に書かれた2楽章形式からなるピアノ協奏曲です。どうしても彼のピアノ協奏曲は第1番以外はあまり耳にする機会がないのだけれども、実はどれもなかなかの力作であり、なぜ人気が出ないのか不思議に思う人も多いのではないでしょうか。この演奏、とにかくセレブリエールが指揮するオーケストラが絶品。ひたすら力強く曲を盛り上げます。第2番は1879年から1880年にかけて作曲され、N.ルビンシテインに献呈されたもので、こちらもとても美しく技巧的なのですが、第2楽章のチェロとヴァイオリンの二重奏があまりにも長すぎて、ジロティがカットしてしまったりと、少々不幸な生い立ちを持つ曲です。ただ、少々残念なのは、どちらの曲も、美しいメロディが多すぎること。あまりの美メロの連続に、どこを「お気に入り」にすればよいのかわかりません。そんな毎日フレンチのフルコースを食べているかのような贅沢な悩みに浸るのもよいものです。(2011/12/14 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571280 |
チャイコフスキーでは、重厚で脂ぎったロシアの大地を思わせてくれるような演奏を聴かせるビレットですが、このフランス物でも、なかなか個性的な演奏を繰り広げていて、まことに興味深いものとなっています。サン=サーンスの5 番の協奏曲は、別名「エジプト風」とも呼ばれる異国情緒たっぷりの曲。とりわけ第2 楽章での不思議な響きは中近東の妖しい空気を思い起こさせるものです。ビレットはテンポを遅めに取り、濃厚な音楽を聴かせます(終楽章では一転、爽やかで晴れやかな表情を見せ、この作曲家がフランス生まれだったことに想い至らせるのですが)。ラヴェルの2 曲の協奏曲も、何とも独特な解釈で、好き嫌いは分かれそうですが、一度は聴いておきたい演奏です。名指揮者フルネが独自の音楽を聴かせるところも素晴らしいです。(2011/09/14 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571272 |
爆裂系が好きな人にぜひオススメ。リストの2つの協奏曲と「死の舞踏」です。ビルケント交響楽団を率いるのは、あの名指揮者タバコフ。ビレットの独特な風味を引き立てる実に絶妙なバックを付けています。どうしても力任せに押し切る演奏が多くなりがちなこれらの曲ですが、ここでは、細部にまで目の届いた細やかな音を楽しむことができるというものです。リストの有り余るエネルギーの炸裂と、全編に渡る小気味よいまでのピアノの超絶技巧をぜひお楽しみください。どちらかというと地味な扱いを受けてしまう第2番の楽しさにも、改めて開眼できるかもしれません。笑ってしまううくらに「すごい」死の舞踏の冒頭もぜひ。(2011/12/14 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571273 |
イディル・ビレットにとって、シューマン(1810-1856)は特別な存在です。例えばCD8に収録されている「幻想小曲集 Op.12」は1959年に彼女がパリでLPに収録したもの。当時17歳であった彼女の瑞々しい感性は、2000年に再録した同じ曲にも見事に引き継がれています。また若き彼女が演奏した「クライスレリアーナ」はアルトゥール・ルービンシュタインに絶賛されました。ピアニストとして経歴を積み重ねている彼女ですが、その節目節目には必ずシューマンがあったと言っても過言ではありません。そんなビレットのシューマン、最初のピアノ協奏曲から魅了されること間違いありません。独特の歌いまわしとリズム感には痺れます。名手ヴィトの振るオーケストラも彼女にぴったりと合わせています。CD8は若き彼女のラジオ・インタビューを含む興味深い内容です。ベートーヴェンとは違った面持ちを魅せるビレットのシューマン。これは面白いです。(2015/04/22 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.508016 |
鬼才ビレットのベートーヴェン(1770-1827)・シリーズ。こちらは2008年に録音されたピアノ協奏曲集です。ベートーヴェン25歳の時に完成された、壮大な楽想を持つ第1番の協奏曲ハ長調。23歳前に書かれていたものの、出版の順番が遅くなったせいで第2番とされる初々しい変ロ長調。これらは第3番以降の独自性こそないものの、はっとするような転調や、指定されたカデンツァ、ティンパニの連打など「やはりベートーヴェン」と思わせる部分が随所に用意された聴き応えのある作品です。ビレットは故郷アンカラのビルケント交響楽団と息のあった演奏を聴かせます。名手アントニ・ヴィトの絶妙のサポートも見事です。(2011/08/17 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571253 |
ビレットとヴィトのコンビによる、なんとも重量級のベートーヴェン(1770-1827)が生まれました。第3番の1楽章の長い提示部は、まさに交響曲を聴いているかのような味わい。ワクワク感が最高潮に達したところで登場するピアノ。決して焦ることなく、着々と音楽を進めて行く様は、本当に聴いていて気持ちの良いものです。第2主題も過度に歌わせることなく、あくまでも無骨さを崩さないところがビレット流。この人は、流麗さが求められるところを、敢えてゴツゴツ表現するのですね。そんなビレットが演奏する第4番がまた面白いのです。「こんなに力強くこの曲を演奏するか?」と思わせるところが彼女らしさなのかもしれません。ヴィトの指揮も、ベートーヴェンの「漢」ぶりを引き立てています。(2011/10/19 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571257 |
さて、名演奏がひしめきあう感のある「皇帝」協奏曲。ビレットの演奏はその中のどの辺りに位置づけられるのでしょうか?確かにこの曲のベスト盤とするのは無理かもしれませんが、色々と期待のできる演奏と言っても過言ではありません。ポーランドの名指揮者ヴィトの堅固なサポートを聴くもよし。ソロでは独自の世界観を表出するビレットが、協奏曲ではどんな我がままで指揮者を振り回すのかを聴きとるのもよし。トルコのオーケストラの爆演を楽しむもよし・・・。思いの他端正な第1楽章も良いですが、濃厚なるビレット節を聴きたければ第2楽章がオススメです。もちろん第3楽章では大団円に向かって突っ走ります。そうそう、あまり演奏されることのない「合唱幻想曲」が想像以上に良い曲だと再認識することもできるでしょう。(2011/11/16 発売)
レーベル名 | :Idil Biret Archive |
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カタログ番号 | :8.571261 |