松元あや
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若き演奏家が奏でる、美しくも哀愁漂うラフマニノフ若きピアニスト、松元あやとチェリスト、ゼフィラン・レイ=ベレが奏でるラフマニノフの作品集。これまでも数多の名演が存在するこれらの曲を、2人は全く臆することなく、自らの歌を高らかに歌い上げています。チェロ・ソナタでの、たっぷりとしたルバートに支えられたチェロの旋律を美しく彩るピアノの調べ。これは決して強く主張するのではなくとも余韻を残す歌い方が印象的。ヴォカリーズもまた然り。チェロとピアノの対話が心行くまで楽しめます。圧巻は松元のソロで聴く「ピアノ・ソナタ第2番」。冒頭から溢れるような激情とともに雪崩落ちるピアノの響きは耳を捉えて離すことがありません。濃厚な音楽の中にラフマニノフ特有の哀愁も漂う名演といえるでしょう。松元あやの演奏は、楽譜から新たな価値を創造していこうというスタンスではなく、今までに積みあげられてきた演奏の歴史、すなわち聴取の歴史に立ち会って動いた「自らの琴線」の一瞬一瞬から、新たな聴衆に丁寧にはたらきかけていくような音楽だ。全体として雄大な情景や巨大な熱量を題材とした音楽であっても、松元はその熱量自体のコントラストを描こうとはしない。むしろ通常はそうした熱量に呑まれてしまいがちな宇宙の小さな気まぐれにも、ひらめきと大きな情感をもって一つ一つ対峙していこうとするスタンスが、人々の共感を呼ぶところなのではないだろうか。 (菊地 裕介 ピアニスト)松元 あや(ピアノ)広島県出身。4歳よりピアノを始め、幼少より国内各地で演奏会に出演。2004年~2011年、クールシュヴェル夏期国際音楽アカデミーにてパスカル・ドゥヴァイヨン氏に師事。パリ国立地方音楽院演奏家課程在学中、パリ市庁舎コンサートに出演。フランスの現代作曲家ロジェ・ブートリーの《ピアノとコンサート・バンドのための呉子(ごし)》の初演を成功させ、作曲者本人より「とても魅力的な演奏、若き実力派」と賞賛される。これまでに、故中島和彦、米川幸余、角野裕、ジャン=マリー・コテ、ロマン・デシャルム、ガブリエル・タッキーノの各氏に師事。2007年、ショパン国際ピアノコンクール in ASIA、コンチェルト部門入賞。2015年(平成27年度)文化庁新進演奏家育成プロジェクトに選出され、広島交響楽団とプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」を協演し好評を博した。協奏曲を得意とし、これまでにウクライナ国立フィルハーモニー管弦楽団、クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団、モラヴィア・フィルハーモニー管弦楽団など数多くのオーケストラと共演を重ねる。スケールの大きさとダイナミックな演奏に定評があり、音にも独特の厚みと深みがあると評されている。現在はフランスを拠点とし、Villiers sur-Marne音楽院で後進の指導にあたるかたわら、ソロ及び室内楽の演奏にも力を入れている。これまでにドビュッシー弦楽四重奏団、プラハ・ヴィルトーゾ管弦楽団、菊地裕介、松本和将の各氏と共演。2023年、地元である東広島芸術文化ホールくららで収録したファーストアルバムをリリース。ゼフィラン・レイ=ベレ(チェロ)ゼフィラン・レイ=ベレは非常に多才なチェリストとして知られており、世界各地の多くのオーケストラとソリストとして、また首席奏者として定期的に共演を行っている。彼の人生における情熱は室内楽、リサイタル、室内アンサンブルに向けられ、多くの国やフェスティバル、名だたる会場で演奏を行い、異なる文化を背景にもつ芸術家たちとの出会いを楽しみつつ、視野を広げている。1989年スイス生まれ。4歳からチェロを始め、早くからジュネーヴ高等音楽院のフランソワ・ギュイのクラスで学んだ。その後、ナターリヤ・グートマン、ヤーノシュ・シュタルケル、フランス・ヘルメルソンのもとで研鑽を重ね、小澤征爾、今井信子、パメラ・フランク、ミゲル・ダ・シルヴァ、ガボール・タカーチ=ナジなどからの助言も受けつつ室内楽奏者としての評価を得、彼らとの共演も果たしている。また現代音楽への関心から複数の作曲家とも協働しており、なかでもアンリ・デュティユーからはその作品解釈の素晴らしさを認められた。2018年にスウェーデンを代表する室内オーケストラ「カメラータ・ノルディカ」の芸術監督に就任。ヨーロッパ中から集まった演奏家とともに、室内楽からオーケストラまで創造性あふれるプログラムで国内外での演奏ツアーを行い、その活動を通して、自身が愛してやまないクラシック音楽の新たな聴衆獲得のため、数多くのプロジェクトを展開している。(2023/11/17 発売)
レーベル名 | :Virtus Classics |
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カタログ番号 | :VTS-023 |