ブレーマー, フランツィスカ
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18世紀ハンブルクの外交官にして詩人ブロッケスが四つの福音書から編纂し、韻文として書き上げた受難曲の台本は、ラインハルト・カイザー(1712年)を皮切りに、テレマン(1716、1722、1723年)、マッテゾン(1718年)、ヘンデル(1719年)など、18世紀ドイツで計13人の作曲家によって作曲・上演された、当時の人気の台本でした。ここに取り上げられたシューバックによる作品は、1754年に作曲されたものです。ハンブルクの市長の息子として生まれたヤコブ・シューバック(1726-1784)は大学で法律を学ぶかたわら、幼いころから学んでいた音楽を続け、ハンブルク市の公人として働きながらも、テレマンに作曲法を学び、ピエトロ・メタスタージオの台本に作曲するなど、作曲家としても活動していました。また公人として、音楽家に対する支援も行い、市のコンサートホールの建設に携わったこともあったようです。このコンサートホールでは、テレマンやカール・フィルップ・エマヌエル・バッハらハンブルクで活躍した18世紀の大作曲家たちもコンサートを開催していたといいます。シューバックの「ブロッケス受難曲」は彼がまだ30際になる前に作曲された作品です。作曲の師であるテレマンの作品の影響を色濃く残しながら、すでにバロック音楽のスタイルからは離れ、和声などには多感主義の音楽の特徴が感じられます。合唱の役割は最小限にとどめられ、華麗なアリアやレチタティーヴォが中心となっており、シンプルな構造によってテキストの表現がストレートに分かりやすく示された受難曲となっています。先行するヘンデルやテレマンの「ブロッケス受難曲」、またバッハの受難曲との違いには興味が湧くことでしょう。指揮を担ったフランツ=ペーター・フーバーは、フルダ大聖堂の合唱指揮者を長年務めるルネサンスから現代までの宗教音楽の専門家。2003年には若い歌手たちを集め、フルダ大聖堂の聖歌隊メンバーを中心としたカペラ・カテドラリス・フルダを結成し、毎年行われる受難節のコンサートでは、ルネサンスから現代までのレパートリーをその時代にあった様式で歌唱・演奏し、人気を博しています。ラルパ・フェスタンテは1983年に結成されたドイツを代表するピリオド楽器オーケストラの1つ。幅広いレパートリーを持ち、17~18世紀の知られざる作品の復興にも注力しています。また近年、ロマン派の大規模声楽作品での演奏でも注目を集めています。この録音は、シューバックの「ブロッケス受難曲」の作曲から250年以上の時を経て行われた復活上演をライヴ収録したもの。CDジャケットに使用されたジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロの宗教画のように色彩感ある受難曲をお楽しみください。(2025/04/18 発売)
レーベル名 | :CPO |
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カタログ番号 | :555705-2 |