スメラ, レポ(1950-2000)
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【パーヴォ・ヤルヴィが紐解く、現代エストニアを代表する管弦楽作品の魅力】パーヴォ・ヤルヴィが生まれ故郷エストニアで開始したパルヌ音楽祭をきっかけに、2011年に創設されたエストニア祝祭管弦楽団。ALPHAからの3枚目のアルバムは、エストニアを代表する5人の作曲家の作品集です。詩的かつ情景的な作風で知られるトヌ・クルヴィッツが、世界的パンデミックで人々が孤独にさらされた2020年、パーヴォ・ヤルヴィに献呈した「To The Moonlight」は「管弦楽のための3つのブルース」の副題を持ち、ブルースのイディオムを用いつつ、困難の時代を生きる人々の心情を表し、またこれに寄り添う美しさを湛えた作品となっています。管弦楽作品からエレクトロニクス、映画音楽などでも知られるウロ・クリグルによる「Chordae」は元々古代ギリシャ語とラテン語から取った表題に、「和音」、楽器の「弦」、「同意」など様々な言語に引っかけた意味を含ませており、多くの音が重なり合って作られる様々な和音やリズムが次々と現れるドラマティックな作品。また「The Bow」も、「お辞儀」や楽器の「弓」など様々な意味を含むタイトルを持つ力強く美しい作品。いずれもパーヴォ・ヤルヴィに捧げられています。グレゴリオ聖歌や東洋音楽から影響を受けているエレナ・トゥルヴェによる「L’ombre derriere toi」は、3つのヴィオラ・ダ・ガンバと弦楽のために書かれた作品で、ここではヴィオラと2つのチェロがソロをとって演奏されます。オペラなど舞台作品が有名なタウノ・アインツの「序曲エストニア」は、2012年にエストニアの詩人ジャン・ペクの「Mu isamaa(我が祖国)」に作曲した際に、その詩から受けた印象を管弦楽で表現したというもの。エストニアで最も重要な交響曲作曲家とされるレポ・スメラによる「オリンピック・ミュージック I」は、1980年モスクワ・オリンピックの際、タリンで開催されたヨット・レースのオープニングのために作曲されました。いずれも調性的で聴きやすいながらも刺激的な作品で、まだまだ知られざるエストニア音楽界の奥深さを教えてくれるアルバムです。(2022/06/10 発売)
レーベル名 | :Alpha |
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カタログ番号 | :ALPHA863 |
Ondineレーベルが20世紀後半のエストニアを代表するレポ・スメラの交響曲全集を開始。エストニア国立交響楽団の演奏、指揮は同響音楽監督でスメラと同郷タリン生まれのオラリー・エルツ!ソ連時代のエストニアに生まれたスメラは同国の音楽界に多大な影響を与えたヴェリヨ・トルミスやヘイノ・エッレルに学び、後にはモスクワ音楽院でも学びました。無調音楽に傾倒し、コンピュータ・ミュージックを導入したかと思えば、わかりやすく感情に伝えかける映画音楽でも手腕を発揮し、38歳の年からはエストニア文化省の大臣も務め、50歳の若さで亡くなりました。1981年から2000年にかけて書かれた6曲の交響曲は、多くの顔を持つ作曲家スメラの中でもシリアスな面を代表する作品群とされています。エルツの全集第1作は、最初と最後の作品のカップリング。どちらも2楽章構成で、すべての楽章が弱音で消えてゆくように終わります。第1番の第1楽章はアルヴォ・ペルトのティンティナブリ様式を思わせる鐘の音を模した壮大かつ厳粛なサウンドと、同じくペルトに通じる静謐で瞑想的な音楽がコントラストを成しています。第2楽章は吹き渡る風を思わせるオーケストラのサウンドが弱音で延々と続いたのち、突如としてショスタコーヴィチを思わせる行進曲風の音楽や戦争の描写のような場面が割り込み、再び風と静寂の世界に戻ってゆく音楽。同じモチーフを繰り返しつつ巧みに楽器を変えてゆくことで独特の効果を挙げています。第6番の第1楽章も静謐な音楽と大音響とのコントラストが強烈ですが、大音量部分のサウンドはより破壊的となり、その強烈な対比はカンチェリのオーケストラ作品を思わせます。第2楽章は悲痛な雰囲気を湛えた謎めいた音楽。スメラの交響曲全集はパーヴォ・ヤルヴィがBISに録音していましたが、第1番から第5番はマルメ交響楽団(第6番のみエストニア国立交響楽団)だったので、当全集が完成の暁には、エストニアのオケと指揮者による初の全集となる見込みです。(2025/05/02 発売)
レーベル名 | :Ondine |
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カタログ番号 | :ODE1449-2 |