ヴァインベルク, ミェチスワフ(1919-1996)
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第ニ次世界大戦中、アウシュヴィッツの強制収容所で働いていたリーザ。戦争が終わって彼女は外交官夫人となり、ブラジルへ赴く船上の人となります。そこで出会った女性「マルタ」の風貌は、強制収容所でガス室送りになった女性と瓜二つ。当時の悪夢のような生活を思い出したリーザは、少しずつ精神に異常をきたし、幻影に苛まれていきます。強制収容所からかろうじて生還したこの物語の原作者ポスムイシの体験は、自らの家族全てを迫害で失ったヴァインベルクの体験とも重なるもので、ヴァインベルクにとっても興味をひく内容であったのでしょう。ショスタコーヴィチの助言を受けながら、彼は1年でこの歌劇を書き上げます。しかし結局この作品はソビエト時代に上演されることはなく、彼の死後、10年を経てモスクワにて演奏会形式での上演が実現し、2010年にようやくブレゲンツ音楽祭で世界初の舞台上演がなされました。この演奏は2021年にグラーツ歌劇場での上演を収録したもの。冒頭の激しいティンパニの連打が波乱の物語を予感させます。ふとしたきっかけから狂気へと至るリーザを歌うカイザーの表現力豊かな歌唱にも注目です。2020年からグラーツ歌劇場の音楽監督を務めるローター・クルティヒは、1990年代にカンマーアンサンブル・ノイエ・ムジーク・ベルリンで現代音楽を専門に振ってきた指揮者。全体を隙なくまとめています。(2021/11/05 発売)
レーベル名 | :Capriccio |
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カタログ番号 | :C5455 |
最近、その作品が次々とリリースされるポーランド生まれのヴァインベルク(1919-1996)。彼の作品はどちらかというと重苦しく苦渋に満ちたものという印象が強いのですが、この1973年の「舞踊交響曲」でのはじけまくったエネルギーの放出には驚くばかりです。この作品はもともと彼の1958年のバレエ音楽「白菊」(広島の原爆投下時の物語)からの編曲で、第1曲目は第3幕の前奏曲がもとになっています。ストラヴィンスキーやラヴェルなどの影響も見えますが、バレエ作品として上演される日がくるのでしょうか?また彼の晩年の「交響曲第22番」は、腰骨の骨折と、病に苦しみながらピアノ・スコアを書き上げたのですが、そこで力尽きてしまったため、未完の作品として残されました。この録音ではキリル・ウマンスキーがヴァインベルクの作品を深く研究した上で、このスコアからヴァインベルクが望んだであろう音を読み取り、完璧な作品として発表したものです。多くのヴァインベルク愛好者にとっても嬉しい1枚です。(2016/03/30 発売)
レーベル名 | :Toccata Classics |
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カタログ番号 | :TOCC0313 |
1982年から84年にかけて作曲されたヴァインベルク(1919-1996)の交響曲第17番は「戦争三部作」と呼ばれるシリーズの第1作目にあたります。タイトルはロシアの女性詩人アンナ・アフマー卜ヴァの詩から採られており、スコアには彼女の詩が掲載されていますが、作曲者は具体的な説明をしていません。【わが祖国、あなたは力と自由を取り戻した/しかし、人々の記憶の宝庫には/焼けてしまった戦争の年月が常に残っている】戦争によって親兄弟全てを失ったヴァインベルクの静かな悲しみと怒りが、どの楽章にも強く滲み出た、説明不要の力作です。かたや「組曲」は、スターリンの支配が終わろうとする1950年頃に書かれた作品ですが、この当時のヴァインベルクは映画音楽やサーカスの音楽で身を立てており、この曲もそんな中の一つだと推測されます。1951年に出版されましたが、正式な演奏の記録は見当たらず、恐らくこの録音も世界初だと思われます。ショスタコーヴィチの《ジャズ組曲》を思わせる軽妙な旋律は、錯綜した時代をそのまま表現しています。(2016/10/28 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.573565 |
近年、注目を集めるポーランド生まれの作曲家ヴァインベルクのクラリネット作品集。彼は若い頃からクレズマー・バンドや劇場のアンサンブルで、クラリネットに親しんできたためか、この楽器のための作品も早くから手掛けていました。なかでも1945年に書かれた「クラリネット・ソナタ」は以前からヴァインベルクの代表作として知られ、ロマンティックで民俗音楽のような親しみやすい楽想を持つ曲です。1970年の「クラリネット協奏曲」は、冒頭の旋律こそソナタに酷似していますが、更にクラリネットの名人芸に重きが置かれた技巧的な作品。縦横無尽に駆け回るパッセージが印象的です。ヴァインベルクが生涯の最後に完成させた「室内交響曲第4番」は美しい弦のコラールではじまり、要所要所をクラリネットのオブリガードが支えるというもの。第2楽章は激しい表情に終始、トライアングルは終楽章で4回登場するのみという、ユニークな使われ方がなされた、ヴァインベルクの集大成とも言える意欲的な作品です。ショスタコーヴィチやプロコフィエフといったロシア作品を得意とするミハイル・ユロフスキが全体をシャープにまとめています。(2020/03/20 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.574192 |
大好評、シレジアン弦楽四重奏団によるヴァインベルクの弦楽四重奏曲集。今作には1937年に完成、1985年に改訂された第1番と、1981年に作曲された第16番、1986年に作曲された第17番の3曲が収録されています。第1番は少年時代の作品ですが、すでにヴァインベルク独自の語法が確立されており、よく比較されるショスタコーヴィチの作品とも違った個性が発揮されています(40年以上経て改訂されましたが、音使いに工夫は凝らされたものの、曲の大筋は変わっていません)。民謡風の旋律で始まる壮大な第16番。短いながらも平明な明るさが感じられる第17番。この2曲からは、晩年のヴァインベルクが到達した作風を垣間見ることができます。(2021/04/09 発売)
レーベル名 | :CD Accord |
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カタログ番号 | :CDAccordACD284 |
2010年のブレゲンツ音楽祭において作品が集中的に演奏され、急速に注目が高まったヴァインベルク。以前は悲惨な戦争体験から「悲劇の作曲家」としてのみ知られていましたが、最近では作品を耳にする機会も増え、彼の穏やかで抒情的な側面にも光があたるようになってきました。全17曲ある弦楽四重奏曲は、初期の作品では親友ショスタコーヴィチの影響が感じられるものの、後期になるに従い、全く違う様相を見せていきます。このアルバムには第11番から第13番までの3曲を収録。なかでも激しい第12番は「暗い」ヴァインベルクを代表する作品です。第11番は民謡風のモティーフが効果的に使われ、第13番は単一楽章で書かれています。ポーランドの主要な室内楽団の1つであるシレジアン四重奏団の演奏です。(2019/12/13 発売)
レーベル名 | :CD Accord |
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カタログ番号 | :CDAccordACD250 |
ポーランドのユダヤ系家庭に生まれてソヴィエトに亡命し、スターリンの弾圧に遭うなど“悲劇の作曲家”として、またショスタコーヴィチとの友情などで近年注目が高まってきたヴァインベルク。このアルバムはシレジアン弦楽四重奏団によるヴァインベルクの弦楽四重奏曲全曲録音の第4作目となります。収録されているのは1970年代後半に書かれた第14番と15番と、同時期に書かれた「3本の椰子の木」の3曲で、作曲家が若き日に陶酔したマーラーの影響が見て取れる第14番は5つの楽章がアタッカで切れ目なく演奏され、楽章ごとにメトロノーム記号だけが標示されています。第15番は珍しい9楽章からなり、やはり楽章タイトルにはメトロノーム記号のみが記されています。この曲はバルトークの影響も指摘されており、献呈されたのも、ソヴィエトで初めてバルトーク作品を演奏したボロディン弦楽四重奏団のチェリストを含む若き奏者たちでした。シェーンベルクに影響されたとされる「3本の椰子の木」はソプラノ独唱を伴う歌曲で、ヴァインベルクはこの曲をカンタータと称しています。(2020/04/24 発売)
レーベル名 | :CD Accord |
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カタログ番号 | :CDAccordACD268 |
シレジアン弦楽四重奏団によるこのアルバムは、2019年のヴァインベルク生誕100年を記念して企画された「室内楽作品全集」(7CD)の第1作となるもの。/ヴァインベルクはワルシャワで生まれましたが、第二次世界大戦勃発時にソビエトに亡命、ショスタコーヴィチの知遇を得て作曲家として活躍する決意を固めました。その頃に書かれたのがピアノ五重奏曲 Op.18で、この作品には明らかに4年前に作曲されたショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲の影響も感じられるものの、ヴァインベルクが広く評価されるきっかけになりました。それに比べ、38歳の時に書かれた「弦楽四重奏曲第7番」はユダヤの旋律が用いられた、抒情的な作風を持つ、ショスタコーヴィチの影響から脱却したヴァインベルクの独創性が発揮された作品となっています。/(2017/05/26 発売)
レーベル名 | :CD Accord |
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カタログ番号 | :CDAccordACD239 |