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【ユリアン・プレガルディエンと気鋭陣と共に、作品初演時の瑞々しさへ!】古代ギリシャ悲劇の復興を意識しながら「歌いながら語る」という新たな形態として生まれた舞台芸術形式=オペラの黎明期を代表する傑作、モンテヴェルディの《オルフェオ》。既に名盤あまたのこの傑作悲歌劇ですが、ヴェルサイユ宮殿で収録された今回の新録音は驚くほど活力と起伏に富んだ鮮烈そのものの仕上がりで、ヨーロッパ最前線の古楽演奏のハイクオリティからさらに一つ頭抜きんでた名演として見逃せません。なにしろ表題役はオラトリオ歌手として、また歌曲や現代音楽でも着実に世界的実績を積みつつあるユリアン・プレガルディエン!フランスのバロック・オペラ界で今や絶大な信望を得ているステファーヌ・フュジェ&レゼポペーは独唱者の大半が少数精鋭の合唱にも加わる編成で、17世紀初頭当時のオペラ上演のあり方を徹底的に見つめ直し、曲に潜むドラマを克明に描き上げてゆく姿勢はもはや神々しいほどです。猛々しいクラリーノ(ナチュラルトランペット)の吹奏が映える冒頭トッカータから器楽勢も大いに頼もしい活躍ぶり。名手マッシモ・モスカルドを含む6人の撥弦楽器奏者、作曲当時の弓奏楽器事情をよく読み解いた上で編成された総勢14名の弦楽合奏に木管・金管も野趣と洗練のはざまで絶妙な響きを聴かせ、打楽器ではラルペッジャータやル・ポエム・アルモニークでも活躍してきた異才ミシェル・クロードが参加。2023年のレザ―ル・フロリサン来日公演でも頼もしい仕事ぶりをみせた鍵盤奏者マリー・ヴァン・レインと指揮者ステファーヌ・フュジェが2人でチェンバロやオルガン、レガールなどを駆使し、オーケストラをよくまとめながら歌手たちと絶妙の調和とコントラストを織り上げてゆきます。触れておかないのは惜しい新名盤、どうぞお見逃しなく。(2024/06/21 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS103 |
【フランス王室が愛したレクイエム、同国精鋭陣による新録音には異形のモテも併録!】南フランスのプロヴァンス地方出身の天才作曲家ジャン・ジル。大クープランと同じ1668年に生まれ、生涯を通じて専らフランスの南側で活躍しパリにもヴェルサイユにも来ないまま早世しましたが、ルイ14世の治世下で作曲したレクイエムが王室でもとりあげられ注目を浴び、18世紀を通じて王室の葬儀で頻繁に再演されるという栄に浴しました。有名な定期演奏会コンセール・スピリチュエルも発足20年前に亡くなったこの昔日の巨匠の作品を何度も演奏、パリの人々にも喝采を博し続けました。20世紀の古楽復権の流れでもシャルパンティエやデュ・モンと並んで注目されてきた彼のレクイエムに、ブルボン家歴代の王たちの祈りの場となってきたヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂での最新録音が登場。手稿譜の形でのみ残る珍しいグラン・モテ(合奏付き合唱曲)と共に演奏を聴かせるのは、フランス17~18世紀音楽の知られざる魅力を実演と録音を通じて根強く紹介し続けてきた実力派ファビアン・アルマンゴー率いるヴェルサイユ・バロック音楽センター(CMBV)の合唱団。器楽陣にはCMBVでの研究成果を比類ない演奏に昇華してきた精鋭集団レ・フォリー・フランセーズが加わり、残された楽譜の持ち味を最大限に引き出す精妙な解釈に仕上げられています。モテ「主よ、わが神、あなたが頼りなのです」では時として舞踏劇やオペラを思わせる音使いもあり、メリハリの利いた古楽器演奏と相俟ってジルの作風の広がりを印象づけてやみません。CMBVの音楽学者ジュリアン・デュブリュクによる解説(仏・英・独語/国内仕様盤には日本語訳付)も充実、フランス・バロックの奥深さと欧州古楽界の層の厚さに改めて驚かされる新録音です。(2023/10/06 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS104 |
【フランスを軸とした18世紀音楽の変遷に迫る、意外な2作品の「フランス語版」】イタリア・オペラがフランスに根付くきっかけを作ったペルゴレージの傑作喜歌劇《奥様女中》と、当時のフランス語オペラを手本にして少年モーツァルトが書いたドイツ語音楽劇《バスティアンとバスティエンヌ》を、それぞれ異なる歴史的文脈の中で生まれたフランス語訳ヴァージョンで録音した2枚組アルバム。1752年にパリのオペラ座(王室音楽アカデミー歌劇場)がとりあげたイタリア語オペラ《奥様女中》は、フランス独自の音楽発展を目指すラモーらの猛反発と百科全書派の大絶賛を巻き起こし、その両派の激しい対立は「ブフォン論争」の名で音楽史にも刻まれました。そんな中、ペルゴレージの音楽の魅力を先入観なしに知ってもらおうと、弁護士ボーランは台本を訳し1754年に《奥様女中》フランス語版を作成。レチタティーヴォはオーケストラ付き部分以外省かれ、台詞の対話に替えられました。他方、劇作家&歌手のファヴァール夫妻は《奥様女中》の向こうを張るフランス語による牧歌劇パロディ《バスティアンとバスティエンヌの恋》をその前年に披露。後年オーストリアでフランス劇団に接する機会もあった少年モーツァルトはこれを下敷きにしたドイツ語台本に曲をつけ、1768年に1幕物のジングシュピールを完成(K. 50)。こちらは19世紀末にフランスの文芸批評家ウィリと作家アルトマンがフランス語版を作成しています。ヴェルサイユ宮殿に集う古楽器楽団は今回、俊才歌手3人と共にこれら2作のフランス語版を録音。フランス・バロック作品の演奏に秀でたガエタン・ジャリは台本の持ち味をよく生かした音作りで、両作曲家の母語では見えてこなかった典雅な音楽的魅力に迫り、18世紀音楽の奥深さを改めて実感させてくれます。(2023/09/08 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS105 |
【複合唱形式と器楽合奏の音色対比の妙!ムファットの傑作をフランス屈指の名手たちと】17世紀末の南ドイツ・パッサウ大聖堂で楽長となり、短い生涯で多くの器楽合奏曲やオルガン曲を残した17世紀後半の天才作曲家ムファットの、唯一現存する教会音楽作品を俊才続々のアンサンブルが演奏。ゲオルク・ムファットは現在のフランス南東部、イタリアのピエモンテ地方にまたがるサヴォワ地方でスコットランドの血をひく家に生まれ、若い頃はリュリの下でフランス式の弦楽器奏法を習得、後年はローマでオルガニストとしても研鑽を積みました。一時ザルツブルク大聖堂にも奉職したものの後年はパッサウ大聖堂に迎えられ、イタリアとフランスの先進様式をいちはやくドイツ語圏に伝えました。多様なバックグラウンドを持ちながらも当人は自分をドイツ人と認識していたとのこと。ミサ曲「労働のさなかに休息を」は同名曲の旋律を全章の多声展開の軸に使う古いパロディ・ミサの手法をとりながら、声楽・器楽からなる24ものパートを四つの楽隊に分け、響きを対置させてゆく複合唱形式の大作。金管・打楽器と弦楽・合唱が艶やかな音の交錯を続けながら、バロック中後期ならではの耳になじみやすい語り口で展開してゆく名品です。木管コルネットにアドリアン・マビルとボルク=フリトヨフ・スミス、サックバット=トロンボーンにアレクシス・ラーエンス、トランペットにピエール=イヴ・マドゥーフ、ドゥルツィアンにジェレミー・パパセルジオーと多くの名手が居並ぶ頼もしいアンサンブルを、日本でもファンの多いカウンターテナー歌手ダミアン・ギヨンらが確かな一体感でまとめあげ、ヴェルサイユ宮殿の歴史ある礼拝堂に響き渡る至福の音のひと時を届けてくれます。ザルツブルクでの同胞で『53声のミサ曲』でも知られるビーバーのモテットの併禄も嬉しいところ。(2023/10/20 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS106 |
【人気絶頂のカウンターテナー、ファジョーリが描き上げるヘンデルの金字塔的名作】現代を代表するカウンターテナーの一人で、2018年の来日時にも多くの人を虜にしたフランコ・ファジョーリが、自ら当たり役を多く演じてきた作曲家であるヘンデルの代表作に指揮者として臨んだ注目の新録音。ヴェルサイユ宮殿に集う気鋭奏者たちからなる室内オーケストラ(弦楽編成は5/5/3/3/1、管楽器は各パート1人ずつの配置)、バルセロナの歴史ある劇場を拠点とし古楽復興に大きな功績を果たしてきた合唱協会を母体とする室内合唱団と一体感あるアンサンブルを織り上げ、頼れる独唱陣と共に起伏に富んだドラマを鮮やかに織り上げてゆきます。テンポ変化を活かしながらも古楽器演奏に多い鋭角的な表現をいたずらに誇示せず、ニュアンスと濃やかな色彩感を追求した解釈が作品全体を通じてきわめて効果的で、歌詞の味わいが際立つ歌いまわしと共に、ヘンデルの音作りの粋がおのずから浮かび上がる仕上がり。Zig-Zag Territoiresで長く活躍した俊才エンジニアのフランク・ジャフレスの仕事ぶりも頼もしく、ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂空間に響きわたる、新時代の瑞々しさに満ちた傑作の味わいを見事に収めています。(2023/11/24 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS107 |
【バロックと古典派の間、爛熟のクラヴサン芸術をヴェルサイユの王宮で!】先代の太陽王ルイ14世ほどではないにせよ、実に60年近くもフランス王の座を守ったルイ15世。その治世(1715-1774)には17世紀以来のフランス様式も根強く人々を魅了し続けた一方で、太陽王のもとでは考えられなかったほど諸外国の音楽文化がフランスに流入、ひときわ華やかなロココの響きが王室やパリの人々を魅了しました。王は音楽にあまり関心を示さなかったものの、レグザンスカ王妃やポンパドゥール夫人、王女たちをはじめ周囲には一流作曲家と親しく交流し感性を豊かに育んだ音楽愛好の女性たちが多く、人々が室内で奏でたクラヴサンのための独奏曲も次々と世に送り出されました。伝統的なフランス様式とイタリアやドイツなど諸外国の様式の間で、折々の流行を先導していったクラヴサン作曲家たちの名品群は、ウィーン古典派風の音楽が定着してゆく前の、驚くほど豊かで独特な音楽世界を垣間見せてくれます。近年フランス古楽界で多忙な活躍をみせ、とりわけ声楽作品の通奏低音奏者としても経験豊かなクレマン・ジョフロワは、大御所ラモーの出世作2集から名匠デュフリによる1768年の曲集まで幅広い年代を視野に入れ、ルイ15世時代の音楽文化の広がりをクラヴサン一つで辿れるプログラムを厳選。この時代の銘器をモデルとする素晴らしい再現楽器をヴェルサイユ宮殿の音響空間で奏で、絶妙なタッチが快い機微細やかな演奏で各作品の魅力をじっくり伝えます。ラモー「一つ目巨人たち」やロワイエ「スキタイ人の行進」といった有名作のほか、2019年に新発見され未だ謎も多いデュビュイソン作曲による1732年出版の曲集や、競合録音が殆どないベルナール・デュ・ビュリの1737年の曲集など稀少な作品が多く収録されている点も見逃せません。(2023/05/12 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS108 |
【コーカサスの伝統楽器の響き、ヴェルサイユの歴史的空間と出会う】アルメニアの民俗楽器カーヌーンの名手ナレク・カザジアンによる演奏と、アルメニア聖歌の解釈に通じた声楽家たちの合唱を中心としたアルメニア音楽集。ドゥドゥクを吹くヘルベルト・アサトリアン、近年躍進めざましい同国出身のチェロ奏者アストリグ・シラノシアンもゲストに迎え、ヴェルサイユ宮殿を拠点にバロック・オペラの復権を進めるヴェルサイユ王室歌劇場管弦楽団との共演も収録しています。古代に遡る波乱の歴史を超えて独自の言語と文化を存続させ、20世紀以降はアラム・ハチャトゥリアンに代表される西洋クラシック音楽と伝統音楽の交錯でも注目されてきたアルメニアの息吹が、民俗音楽からも多くの学びを得てきた古楽器演奏シーンの俊才たちとの出会いで独特の精彩をもって立ち上ります。カーヌーン(ダルシマーのような形をしており、人差し指にはめたピックで弦をつま弾いて奏する)の煌びやかな音色は、生楽器の素材感も伝わるヴィブラートを抑えた弦楽合奏とも相性抜群。聖歌の響きも温もりにあふれ、サクソフォンやバスクラリネットにも通じる音色が魅力的なドゥドゥクも細やかな情感豊かで、異国情緒に満ちたサウンドに独特な親密さを纏わせます。Chateau de Versailles Spectaclesには珍しいタイプのアルバムですが、丁寧な音作りと企画制作の入念さは同レーベルならでは。接する人それぞれに異なる魅力と出会えそうなアルバムです。(2023/04/14 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS109 |
【フランス発、英国王戴冠式の年に捧ぐ精妙・壮麗な古楽器の調べ】英国王チャールズ3世の戴冠式が行われる2023年にふさわしい新録音が、海を挟んだフランスのヴェルサイユ宮殿に集う古楽演奏家たちから届けられました。1727年のジョージ2世戴冠式のために作曲され、歴代の英国王の戴冠式でも歌われてきたヘンデルの傑作『戴冠式アンセム』全4曲に加え、同じ1727年の戴冠式でも一部が再演されたジェイムズ2世戴冠式(1685)のためのパーセルの作品2曲を収録。それら演奏作品の合間には18世紀以前の祝典でも一般的に使われていたナチュラル・トランペットを使ったファンファーレが挿入され、ヴェルサイユ王室礼拝堂の音響とあいまって聖職者臨席のもと行われる戴冠式の雰囲気がそのまま伝わってくるかのような生々しさ! その迫真の存在感をきわだたせているのは欧州古楽器演奏シーンの最先端をゆくガエタン・ジャリ指揮の実力派集団。フランス17~18世紀の声楽曲の演奏に秀でた彼らは、まさにルイ14世時代のフランス宮廷音楽から英国王室の音楽が大きな影響を受けていた頃の作品であるパーセルの2曲を鮮やかな臨場感で聴かせ、その雰囲気の延長線上で精妙かつダイナミックにヘンデルの壮麗な作品群を堪能させてくれます。アルバム前半はファンファーレを挟みながら編成の小さな曲から大きな曲へと進む曲順になっていて、パーセルとヘンデルの音楽的連続性にも気づかされる仕組み。作品が生まれた文脈を考え抜いている実力派集団だからこその臨場感をじっくりお楽しみください。(2023/04/28 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS110 |
【声の演技力あればこそ!18世紀フランス音楽の多様さを示すペルボストならではの1枚】フランスの音楽著作権協会ADAMIから2016年の新星オペラ歌手賞に選ばれて以来、ヨーロッパのシーンで演技力豊かな声が急速に話題となり、オペラ界に留まらずバロック・オペラ蘇演や知られざるフランス近代歌曲の発掘で早くも注目すべき実績を次々と挙げているマリー・ペルボスト。ヴェルサイユ宮殿を舞台に刻まれた新たなソロ・アルバムはルイ15世時代のフランスに光を当て、多様な劇音楽から有名・無名にかかわらず魅力的なナンバーを厳選。ルイ15世の長く比較的安定した治世の中で育まれた、多角的な様相をみせる恋物語の数々の魅力に迫ります。軸となる巨匠ラモーの3傑作(《イポリートとアリシ》〔1733〕、《カストールとポリュクス》〔1737〕、《プラテー》〔1745〕)からして音楽面でも物語面でもそれぞれに異なり、同時期の王室を魅了したルベル&フランクールのタッグや世紀半ばのパリの寵児ドゥーニなど、他の作曲家たちの作品にもバロック後期からロココの柔和さを経て古典派前夜まで、18世紀フランス音楽の多彩さと一貫性を矛盾なく実感させてくれる奥深い魅力がたっぷり。ソプラノ歌手でありながら低い音域でも豊かな情感描写を聴かせるペルボストならではの、演技性あればこそのエールが集められているのも流石です。ヴェルサイユの王室歌劇場ほか数々のステージで名演を披露してきたガエタン・ジャリの経験値が十全に活かされたオーケストラの音作りも頼もしく、どこから聴いても引き込まれずにおれないアルバムに仕上がっています。(2023/09/22 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS111 |
【一体感と自発性。ヴェルサイユに集う本場最高峰の古楽奏者勢が聴かせるリュリの至芸】21世紀のフランス古楽界で実力ある音楽家たちと信頼関係を深めながら、声楽指揮者として着実に存在感を高めてきたステファーヌ・フュジェ。Chateau de Versailles Spectaclesレーベルでは太陽王ルイ14世の王室音楽総監督リュリが残したグラン・モテ(大規模な器楽合奏と合唱で演奏される教会音楽)の体系的録音を進めてきましたが、第4作となる今回のアルバムでは王室祝賀行事など晴れがましい場面で愛奏される、リュリの傑作『テ・デウム』(リュリはこの作品の演奏中拍子をとる杖で自らの足を傷つけ、これが元となり2か月後に亡くなりました)を中心とする選曲が見逃せません。華やかな金管の吹奏で始まる冒頭部(少し後にシャルパンティエも同種の傑作でこの手法を踏襲しています)が印象的なこの作品の演奏に際し、フュジェはその頃の習慣を踏まえてルイ14世の入場を暗示するティンパニとトランペットを使った当時の祝典音楽でアルバムを開始。レザ―ル・フロリサンやレ・タラン・リリクなど古楽シーン最前線の楽団を支えてきた名手マリー=アンジュ・プティの鮮烈な撥捌き、野趣と気高さを兼ね備えたマドゥーフ兄弟らのナチュラル・トランペットの吹奏が導くリュリ作品の解釈は緩急自在、後続の詩篇第19篇と共に細部まで深い味わいをよく引き出してやみません。総勢50に上る合唱はヴェルサイユ・バロック音楽センターの合唱団に加え、フュジェの楽団レゼポペーのソリストたちが小合唱を構成。こちらもクレール・ルフィリアトルやシリル・オヴィティなど実力派が揃い、24人の弦楽器奏者に多くの管楽器奏者と鍵盤・撥弦各2名が加わる器楽勢と共に、いかなる局面でも精緻な音作りで自発性豊かな演奏を聴かせてくれます。(2024/03/08 発売)
レーベル名 | :Château de Versailles Spectacles |
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カタログ番号 | :CVS117 |