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3月26日発売 細川俊夫:管弦楽作品集第1集

2014年3月26日発売


細川俊夫(1955-)

1. ホルン協奏曲「開花の時」(2010) – 世界初録音
シュテファン・ドール (ホルン)


2. ピアノとオーケストラのための「月夜の蓮」(2006)
– 世界初録音
児玉桃 (ピアノ)


3. チェロとオーケストラのための「チャント」(2009)
– 世界初録音
アンッシ・カルットゥネン (チェロ)


ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

準・メルクル (指揮)

 

録音:2013年6月10日&11日
スコットランド・グラスゴー ヘンリー・ウッド・ホール

品番:8.573239J
発売日:2014年3月26日
(※作曲者による日本語楽曲解説付き)

 

●細川俊夫 : 管弦楽作品集第1集

現代における「日本人作曲家」の中で、最も世界中から注目を浴びている細川俊夫(1955-)。彼の新作は発表されるやいなや、その総譜は日本ショット社から出版され世界中へと広まっていくことでも知られています。最近の作品はどれも「自然と人間」との関わりをモティーフとしており、とりわけ「花」の存在は忘れてはならないものでしょう。
ナクソスレーベルがリリースする彼の管弦楽作品シリーズ第1弾は、独奏楽器とオーケストラのための作品集です。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のホルン首席奏者であるシュテファン・ドール、国内外で大活躍中のピアニスト児玉桃、現代音楽のスペシャリストであるアンッシ・カルットゥネン、これまでにも数多くの細川作品に携わってきた準・メルクルと、錚々たるメンバーが揃いました。3作品とも世界初録音となります。
CDには作曲者自身による日本語楽曲解説が同梱されています。

 

●楽曲について(作曲者による日本語解説より抜粋)

・ホルン協奏曲「開花の時」(2010)
この作品は、ベルリンフィルハーモニー、アムステルダムコンセルトヘボウ、ロンドン・バービカンホールの共同委嘱として作曲した。初演者のホルン奏者、シュテファン・ドーア(ドール)に捧げる。(中略)私の他の多くの協奏曲と同じように、このホルン協奏曲でも、独奏者のホルンを「花」、あるいは「人」、そして背景のオーケストラを自然、宇宙、花の咲く場所(ここでは蓮の花を想定し、池)と想定している。最初、持続される一つの長い音響が、水面であるととらえ、その水面から、蓮の花がうごめき始め開花を目指して、胎動し始める。それに対して自然が、様々なエコーを投げ返す。水面はやがて、水の深さを示すような低い音がうごめき始める。さらに激しい開花への胎動と憧れは小さな嵐を呼び、自然との間に、衝突がおこる。静かな開花の奥にある、激しい開花への胎動。やがて再び池は、深い静けさを取り戻し、花は静かに開花の時を迎える。この「開花の時」は、私の音楽家としての自分のうたを発見する「旅」の過程ととらえてもいい。金管楽器を空間に配置して、コンサートホール自身が、大きく天へ向かって広がる池と想定した。

(オレンジ色のボタンをクリックするとサンプル音源の試聴ができます)

 

・ピアノとオーケストラのための「月夜の蓮」(2006)
この作品は、北ドイツ放送(NDR)の委嘱作品。 2006年のモーツァルト年を記念して、モーツァルトのピアノ協奏曲の一つを私が選択し、それと同じ編成で作曲するという課題を、NDRのリヒャルト・アルムブルスター氏から与えられた。私が選んだ作品は、A-dur., KV 488であり、その2楽章fis-mollをテーマとして、この作品を作曲した。(中略)蓮の花は、ピアノであり、オーケストラは、水と自然を象徴させる。この音楽で、fis音を中心に長く伸ばされて持続音は、水面の響きを、そしてそれ以下の低音は、水中であり、最低音域は、泥の中の暗黒である。そしてその水面を越えた高音は、限りない広がりを持った空を暗示する。静かな明るい月夜、蓮の花は蕾のまま、月光を受けて、開花に向かって、夢にまどろむ。その夢の中には、かすかにモーツアルトの音楽への憧れ(西洋音楽への憧れ)が託される。このピアノ協奏曲の作曲のときの、私のイメージは以上のようなものである。この作品を初演者のピアニストの児玉桃にささげる。

(オレンジ色のボタンをクリックするとサンプル音源の試聴ができます)

 

・チェロとオーケストラのための「チャント」(2009)
このチェロ協奏曲の独奏部分、チェロのパートは、日本仏教の典礼音楽「声明」の歌い方から、影響を受けている。(中略)ほとんどの私の協奏曲作品と同じように、このチェロ協奏曲でも、独奏者は「人」、背景のオーケストラは人の内と外に広がる「自然」、「宇宙」を象徴している。人は歌い始め、それに宇宙(ユニヴァース)が、共鳴したり、反発したりする過程を経ながら、人は自分の歌を深めていく。そしてその歌は、やがて、自然のエネルギーの中に溶けあっていく。  この作品は、数年前ロハン・デ・サラムと会話した際に、彼がスピリチュアルな世界に興味を持ち、死後の世界(チベットの死者の書)や霊的なことに関して話し合った経験から、生まれた。チェリストは、世界のなかで、歌い、祈り、世界の内側に溶けてゆく。

(オレンジ色のボタンをクリックするとサンプル音源の試聴ができます)

 

CDを購入するにはコチラ

NMLナクソス・ミュージック・ライブラリーで試聴するにはコチラ

 

 

 

細川俊夫(Photo:Kaz Ishikawa)

1955年広島生まれ。1976年から10年間ドイツ留学。ベルリン芸術大学でユン・イサンに、フライブルク音楽大学でクラウス・フーバーに作曲を師事。

1980年、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習に初めて参加、作品を発表する。以降、ヨーロッパと日本を中心に、作曲活動を展開。日本を代表す る作曲家として、欧米の主要なオーケストラ、音楽祭、オペラ劇場等から次々と委嘱を受け、国際的に高い評価を得ている。2004年のエクサンプロヴァンス音楽祭の委嘱による2作目のオペラ《班女》(演出=アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル)、2005年のザルツブルク音楽祭委嘱のオーケストラ作品《循環する海》(世界初演=ウィーン・フィル)、第5回ロシュ・コミッション(2008年)受賞による委嘱作品である2010年世界初演のオーケストラのため の《夢を織る》(クリーヴランド管弦楽団によって、ルツェルン音楽祭、カーネギーホール等で初演)、2011年のモネ劇場の委嘱によるオペラ《松風》(演 出=サシャ・ヴァルツ)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とバービカン・センター、コンセルトヘボウの共同委嘱による《ホルン協奏曲─開花の時─》と いった作品は、大野和士、ヴァレリー・ゲルギエフ、フランツ・ウェルザー=メスト、サイモン・ラトルなど、世界一流の指揮者たちによって初演され、その多 くはすでにそれぞれのジャンルにおけるレパートリーとして演奏され続けている。

2013年のザルツブルク音楽祭では、二度目となる同音楽祭委嘱作品、ソプラノとオーケストラのための《嘆き》の初演をはじめ、アンサンブル・ウィーン=ベルリン委嘱作品《古代の声》の初演ほか、多くの作品が演奏された。

2001年にドイツ・ベルリンの芸術アカデミー会員に選ばれる。東京交響楽団1998-2007、ベルリン・ドイツ交響楽団2006/2007シー ズン、および西ドイツ放送局合唱団2006-2008シーズンのコンポーザー・イン・レジデンスを歴任。2006/2007年および2008/2009 年、ベルリン高等研究所からフェロー(特別研究員)として招待され、ベルリンに滞在。2012年にはドイツ・バイエルン芸術アカデミーの会員に選出され た。2012年秋、紫綬褒章を受章。ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団2013/2014シーズンのコンポーザー・イン・レジデンス。

現在、武生国際音楽祭音楽監督、東京音楽大学およびエリザベト音楽大学客員教授。

(ショット・ミュージック株式会社HPより)

 


準・メルクル(Photo:Christiane Höhne)

1959年ミュンヘン生まれ。同世代の指揮者たちのなかで、もっとも人気のある指揮者の一人である。ハノーファー音楽院でヴァイオリン、ピアノ、指揮を学んだ後、1979年から1981年にかけてチェリビダッケにも学び、そこで指揮者としての考え方について決定的な影響を受ける。またミシガン大学で グスタフ・マイヤーにも学んだ。1986年にドイツ音楽評議会の指揮者コンクールで優勝。その後ボストン交響楽団の奨学金を得てタングルウッド音楽祭に参加、レナード・バーンスタイン、小澤征爾に学んだ。

1991年から1994年にかけてザールラント州立劇場の音楽監督を務め、1993年にはウィーン国立歌劇場にデビュー、「トスカ」で圧倒的な成功を収める。その後同歌劇場の常連となり、「蝶々夫人」「マノン・レスコー」「ラ・ボエーム」「トゥーランドット」「パルジファル」「ラインの黄金」「ワル キューレ」「ばらの騎士」「ナクソス島のアリアドネ」などを指揮している。1994年から2000年にはマンハイム州立劇場音楽監督および芸術監督を務め、1996年にはコヴェントガーデン王立歌劇場で「神々の黄昏」を指揮してロンドン・デビュー、1998年には「イル・トロヴァトーレ」を指揮してメト ロポリタン・オペラへデビューするなど、次々にオペラ指揮者としてのキャリアを築いてきた。ウィーン国立歌劇場、ドレスデン州立歌劇場、ベルリン・ドイ ツ・オペラ、バイエルン州立歌劇場に客演。2014年2月にはハンブルク州立歌劇場にてフィデリオを指揮。

コンサートでは、ミュンヘン・フィル、ケルン・ギュルツェニヒ管、ハンブルク北ドイツ放送響、バイエルン州立管、ケルン放送響、パリ管、フランス放送フィル、バーミンガム市響などヨーロッパの主要オーケストラに定期的に客演、チューリッヒ・トーンハレ管、チェコ・フィルでの客演デビューを果たす。北米での活躍も目覚しく、ボストン響、シカゴ響、フィラデルフィア管、クリーヴランド響、ダラス響、ボルティモア響、ミネソタ管、モントリオール響、セントルイス響、ワシントン・ナショナル響、アトランタ響、シアトル響などを指揮。2005年から2011年にかけて、6年間フランス国立リヨン管弦楽団の音楽監督を務めた。

(準・メルクル公式HP日本語版より)