「心と指が完全に一致し、どんな音楽でも自在に操ることができる真の音楽家」
(英『Gramophone』誌)、田所光之マルセル、CDデビュー。
リストも羨むほどのテクニックを持ち、「ロシア・ピアノ楽派」の礎を築いた
ヘンゼルトのエチュード全集!
(曲目) アドルフ・フォン・ヘンゼルト(1814-1889): 12の性格的練習曲 Op. 2 1. 第1番 ニ短調 嵐よ、おまえは私を打ちのめすことはできまい! 2. 第2番 変ニ長調 私のことを時に思い出してください、 私はいつもあなたのことを思っています! 3. 第3番 ロ短調 私の願いを叶えてほしい! 4. 第4番 変ロ長調 二重唱 ― 愛の安らぎ 5. 第5番 嬰ハ短調 嵐の人生 6. 第6番 嬰ヘ長調 私が鳥なら、 おまえのところに飛んで行くのに! 7. 第7番 ニ長調 そう、青春は黄金の翼をもっている! 8. 第8番 変ホ短調 おまえは私を魅惑し、操り、 そうして水底へ引き込んで行く! 9. 第9番 ヘ長調 恋愛の青春、至福の時、ああ、おまえは逃げ去って行く! それでも思い出は残る 10. 第10番 ホ短調 小川が海に広がるように、愛しい人よ、 私の心はおまえを待ち焦がれている 11. 第11番 変ホ長調 眠っているのか?、我が生命よ 12. 第12番 変ロ短調 数多のため息と追憶、不安に苛まれ、 ああ!私の心は波打っている 12のサロン用練習曲 Op. 5 13. 第1番 ハ短調 英雄 14. 第2番 ト長調 15. 第3番 イ短調 魔女の踊り 16. 第4番 ホ長調 アヴェ・マリア 17. 第5番 嬰へ短調 失われた祖国 18. 第6番 変イ長調 嵐の後の感謝の歌 19. 第7番 ハ長調 妖精の輪舞 20. 第8番 ト短調 合唱リフレイン付きのロマンス 21. 第9番 イ長調 22. 第10番 ヘ短調 飛び去りし幸福 23. 第11番 ロ長調 愛の歌 24. 第12番 嬰ト短調 亡霊の夜行 25. 練習曲 イ短調 26. 牧童の別れの言葉(ゴンドラ) Op. 13 No. 2 田所光之マルセル(ピアノ) 録音:2024年9月24-26日 イギリス、ワイヤーストーン・コンサート・ホール
ドイツ出身でありながらロシアに渡り、のちに「ロシア・ピアノ楽派の礎を築いた存在」として知られるアドルフ・フォン・ヘンゼルト。その比類なき技巧はリストにさえ羨まれ、彼の孫弟子にあたるラフマニノフも「最も影響を受けたピアニスト」としてその名を挙げています。 私がヘンゼルトの存在を知ったのは、作品2の6(通称「鳥のエチュード」)のラフマニノフによる録音を聴いたときでした。そのあまりの魅力に、すぐに楽譜を探しに行ったことを今でもよく覚えています。 このエチュード集の最大の魅力は、まるで鍵盤の上を飛翔するような広いインターバルを要する超絶技巧と、ドイツ・ロマン派に特有の内省的かつ詩的な音楽性との融合にあります。作品の多くには詩のようなタイトルが添えられ、内面の感情を静かに語りかけるものから、鳥や海、嵐などの自然を描写する標題音楽的要素を感じさせるものまで、その表現は実に多彩です。そして何より、超絶技巧と詩的な音楽性が高次元で融合した本作は、彼の作品群の中でもひときわ異彩を放つ、唯一無二の存在であり、まさにヘンゼルトの最高傑作と呼ぶにふさわしいものだと確信しています。 このたびの録音を通して、ヘンゼルトの作品が持つ豊かな魅力を、より多くの方にお届けできることを心から願っています。 ——田所光之マルセル
田所光之マルセル 日本人の父とフランス人の母の間に生まれ、多様な文化の中で幼少期を過ごす。 8歳よりピアノをはじめ、名古屋市立菊里高等学校音楽科卒業後、パリ国立高等音楽院に満場一致の首席で入学。ジャン=フランソワ・エッセール、フローラン・ボファール両氏のもとで学んで同音楽院ピアノ科を卒業し、続いて同音楽院の修士課程を修了。その後、パリのエコール・ノルマル音楽院に奨学生として入学。レナ・シェレシェフスカヤ氏のもとでさらに自らの音楽に磨きをかけた。 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで審査員長特別賞、サンタンデール国際コンクールで第3位を受賞するなど、数多くのコンクールで受賞を果たした。 ほかにもオリヴィエ・ガルドン、マルク・ラフォレ、エフゲニー・ボジャノフ、海老彰子、長野量雄、田島三保子、鈴木彩香の各氏からも教えを受け、田所は自身の音楽をより一層厚みのあるものにしている。日本と欧米各国でソロ、室内楽、オーケストラとの共演を続けている。 公演情報 |