●収録楽曲解説
Tr.1 ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲「四季」より 「冬」 Op.8 No.4 RV297 – 第1楽章
♪02:27~ 「歯の根の鳴るようなヴァイオリン」を要チェック♪
「四季」といえば「春」第1楽章が最も有名ではありますが、より鮮烈な弦のいななきを味わいたい方はこの「冬」第1楽章を。激しい雪嵐のなかを歩く様子を描いたといわれるこの曲、至る箇所で冷たい風が激しく身を打つさまを聴くことができますが、なんといっても耳をくすぐるのは「歯の根の鳴る様子を描写した」といわれるこの部分。ハイレゾ・クオリティなら、ソロ・ヴァイオリンのヒリヒリと痛むような弱音を、思わず頬を抑えたくなるようなリアルさで感じることができます。
演奏: チョーリャン・リン(ヴァイオリン)/セジョン
録音: The Church of Holy Trinity, New York City, from 6th to 9th September, 2005
Producer: Steven Epstein
Engineer: Richard King
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ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲集「四季」
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Tr.2 ロッシーニ: 歌劇「ウィリアム・テル」 – 序曲
♪01:17~ 「チェロの背後でゴロゴロ鳴るティンパニ」を要チェック♪
「運動会のテーマ」としておなじみのこの曲ですが、実はかの有名な部分「スイス独立軍の行進」は終盤(8:02~)までおあずけ。とはいえハイレゾならではの聴きどころは、実は前半にも色々とあります。ここでは冒頭「夜明け」部分を。なんとも美しい日の出のメロディを響かせるチェロの背後で、遠雷のように低く静かにゴロゴロゴロ…と鳴るティンパニの音に注目。その遠雷にハッと気づいてチェロが息をとめた瞬間の、微かな緊迫した空気もまたハイレゾでこそ味わいたいものです。
演奏: プラハ・シンフォニア管弦楽団/クリスティアン・ベンダ(指揮)
録音: Kulturní Dům Barikádníků, Prague, Czech Republic, on 5th and 6th September, 2011
Producer: Kateřina Chobotová
Engineer: Michael Rast
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ロッシーニ: 序曲集 ※配信版では曲の編成が異なります
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Tr.3 ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 Op.9
♪02:19~ 「控えめながらスパイシーなタンバリン」を要チェック♪
イタリア生まれのロッシーニに続き、明るいイタリア(風)のオーケストラ曲をお楽しみいただきましょう。この曲の主役はズバリ「タンバリン」。触ったことがない人はいないであろうこの楽器、クラシック音楽ではイタリアらしさを表現するためによく用いられます。流麗な弦のうねりの間から、タタタタタン♪と、控えめながら陽気に鳴る音が、南欧ムードを盛り上げます。このタンバリンのスパイス的な存在感は、微細な音まで再現するハイレゾでなければ意識しにくいところでしょう。その後ラストまで、タンバリンは活躍し続けます。ぜひチェックしてみてください。
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演奏: フランス国立リヨン管弦楽団/レナード・スラットキン(指揮)
録音: Recorded live at the Auditorium de Lyon, France, on 24th and 26th October, 2013
Produced and engineered by Tim Handley
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ベルリオーズ: イタリアのハロルド/他
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Tr.4 ヴェルディ: 歌劇「アイーダ」 – 第2幕 第2場 バレエの場面 – V. 舞踏曲
♪00:16~ 「シンバルで感じるダンス・ミュージックの真髄」を要チェック♪
舞台上演ではカットされてしまうこともあり、オペラ・ファンでもあまりなじみのないこちらのバレエ曲ですが、ハイレゾ・ファンにとってはこの上なく魅惑的な音源であることをお約束します。ダンス・ミュージックらしい鋭いアクセントに導かれて、次から次へとダンサーが現れるかのように楽器が登場し、やがて熱狂的なクライマックスを迎えます。どこをとっても飽きることのないダンサブルな音源ですが、0:16以降に登場するシンバルのリズムを追っかけて聴いてみるとより楽しいでしょう。
演奏: ボーンマス交響楽団/ホセ・セレブリエール(指揮)
録音: Recorded at The Lighthouse, Poole, Dorset, UK, from 15th to 17th May, 2011
Produced, engineered and edited by Phil Rowlands
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ヴェルディ: オペラの中のバレエ音楽全集
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Tr.5 ブラームス: ドイツ・レクイエム Op.45 – VI. われらここには、とこしえの地なくして
♪07:07~ 「四部合唱がフーガを造り上げていくリアリティ」を要チェック♪
前作のアルバム「the First Selection」では、天空を飛び交う流れ星のような「千人の交響曲」をお届けしましたが(Tr.7)、こちらは、同演奏者&同ホールの録音でお届けする、地から天へ梯子をかけるかのような構築的なフーガ。四部の合唱が、それぞれの役目をこなしながら、一段一段、堅実に天への階段をこしらえていくさまを、ハイレゾならば、その様子をじっくり観察するかのように味わうことができるでしょう。
演奏: ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団/ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団/アントニ・ヴィト(指揮)
録音: Recorded at Warsaw Philharmonic Hall, Warsaw, Poland, from 27th to 29th August, 2012
Produced, engineered and edited by Andrzej Sasin and Aleksandra Nagórko
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ブラームス: ドイツ・レクイエム Op.45
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Tr.6 ドヴォルザーク: 交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 – 第2楽章
♪00:29~ 「人間の歌声と聴きまごう弦のピアニッシッシモ」を要チェック♪
学校や公共機関の夕方のチャイム音としてあまりに有名なこちらの曲。夕暮れの空の下で鳴るひしゃげた音の「家路」も大いに郷愁を誘うわけですが、ハイクオリティの録音は、原曲のデリケートな魅力を再発見させてくれます。わけても一番の注目ポイントは、有名なメロディがはじまる前。管楽器の導入の後、吐息のような呼吸をおいて、弦楽器がピアニッシッシモ(ppp)でそっと入ってくる瞬間をお聴き逃しなく。もしそれを混声合唱と聴き違えたとしたら、それは、弱音のアーティスティックな表現に長けたハイレゾならではの効果でしょう。
演奏: ボルティモア交響楽団/マリン・オールソップ(指揮)
録音: Joseph Meyerhoff Symphony Hall, Baltimore, USA, on 27th, 28th and 30th March, 2008
Producers: Steve Epstein
Engineers: Richard King
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ドヴォルザーク: 交響曲 第6番/第9番 「新世界より」
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Tr.7 ラヴェル: 道化師の朝の歌
♪00:17~ 「前方で伴奏、後方でメロディ…反転した世界の妙」を要チェック♪
たいがいの有名なオーケストラ曲は、弦が前線に立って朗々とメロディを奏で、管は後方で援護射撃に回るのが常。ところがこの曲は、そのポジションが逆転する瞬間がしばしばお目見えします。冒頭の弦のピチカート・ダンスに次いで、主役のメロディを奏ではじめるのは後方部隊のオーボエ。ついでコールアングレ(木管楽器の一種)、クラリネットへとそのメロディは受け継がれていき、前方ではその間、弦がリズムを刻んでバックダンサーとしての仕事に励みます。鏡を反転させた不思議の国にやってきたような感覚を、ぜひ、ハイレゾで味わってください。ちなみにこの「道化師の朝の歌」は、「鏡」という作品のなかの1曲です。
演奏: フランス国立リヨン管弦楽団/レナード・スラットキン(指揮)
録音: The Auditorium de Lyon, France, on 2nd and 3rd September, 2011
Produced and engineered by Tim Handley
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ラヴェル: 管弦楽作品集 第1集
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Tr.8 ラフマニノフ: 交響曲第1番 ニ短調 Op.13 – 第4楽章
♪00:18~ 「様々な環境下で鳴らしたいダイナミックなオケサウンド」を要チェック♪
ハイレゾでのオーケストラ曲鑑賞、といってまず誰もが期待するのが、他のジャンルや編成では味わえないダイナミックさ。こちらのトラックはその期待に存分に応えてくれること請け合い。立ち上がりの良いスピーカーでこそ、そのエネルギーとセンスの良さの真髄を味わえるというもの。ぜひ、様々な環境下で鳴り具合をお試しいただきたい音源です。
演奏: デトロイト交響楽団/レナード・スラットキン(指揮)
録音: Recorded at Orchestra Hall, the home of the Detroit Symphony Orchestra, Detroit, USA, from 19th to 21st October, 2012
Producer and editor: Blanton Alspaugh
Engineer: Matthew Pons
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ラフマニノフ: 交響曲第1番/死の島
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Tr.9 プロコフィエフ: 交響曲第1番 ニ長調 Op.25 「古典」 – 第1楽章
♪01:00~ 「ハイドンの仮面をかぶったヘンテコ部分」を要チェック♪
プロコフィエフは、ひとことでいえば「いたずら好き」な作曲家です。この交響曲も、「ぱっと見はハイドン(古典)風、よくよく聴くとヘンテコ」というコンセプトで書かれています。その「ヘンテコ」の一端をここではチェックしてみてください。0:55から始まるのは、いかにもハイドンの交響曲にありそうな安心の「第2主題」ですが、1:00でヴァイオリンが謎のおふざけをかまし、それにつられるようにフルート、クラリネットなどが一瞬ぺろっと舌を出してきます。この曲は他にもこんなヘンテコ箇所が沢山。ハイレゾなら、その「発見」率もアップすることでしょう。
演奏: サンパウロ交響楽団/マリン・オールソップ(指揮)
録音: Recorded at the Sala São Paulo, Brazil, from 20th to 22nd March, 2014
Produced, engineered and edited by Ulrich Schneider
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プロコフィエフ: 交響曲第1番「古典」/第2番/交響的絵画「夢」
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Tr.10 ガーシュウィン: アイ・ガット・リズム変奏曲
♪00:00~ 「楽器が次から次へと目の前に迫るエンタメ型録音」を要チェック♪
「ハイレゾクラシック the Next Selection」のラストを飾るのはこのとびきり楽しい「アイ・ガット・リズム」。楽曲そのものの魅力もさることながら、楽器が次々と目の前に飛び出してくるような3D映画さながらの超エンタメ型録音を、このハイレゾスペックで存分にエンジョイしてください!エンジニアはティム・ハンドリー。2005年のグラミー賞「Producer Of The Year, Classical」部門を受賞した、ナクソスでの業績多数の名プロデューサー&エンジニアです。
演奏: オリオン・ウェイス(ピアノ)/バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団/ジョアン・ファレッタ(指揮)
録音: Recorded at Kleinhans Concert Hall, Buffalo, New York, USA, from 17th to 20th November, 2010
Produced and engineered by Tim Handley
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ガーシュウィン: へ調の協奏曲/他
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