横山幸雄が問う自身初のシューマン・ピアノ・アルバム。ここで横山が選曲した曲は、シューマンのピアノ作品中、最高傑作とも言われるクライスレリアーナ、そして極めて高いレベルの技巧と音楽性を要求されるピアノ・ソナタ1番という、いかにも当代一流のヴィルトゥオーゾとして名を馳せる横山らしい大曲の選曲である。
40歳を超えてまさにピアニストとして円熟の境地に達しつつあり、従来の完璧な技巧とともに、ダイナミックでスケール感溢れる「動」と、時にささやくような究極のソット・ヴォーチェ「静」のマリアージュは、聴き手を深い感動の境地に誘う。このアルバムは、成長著しい「今」の横山の非凡な才能を刻んだ金字塔として記憶される名盤であろう。