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21世紀クラシックス

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    バラダ:ピアノ、管楽器と打楽器のための協奏曲/チェロ協奏曲/ヴィオラ協奏曲(グラーフ/プレモ/ピライ/カーネギー・メロン・ウィンド・アンサンブル)

    常に刺激的な作品を供給するバルセロナ生まれの作曲家レオナルド・バラダ(1933-)。このアルバムでは彼が電子音楽に興味を抱いていた1960年代の作品から、2000年代のヴィオラ協奏曲まで、幅広く興味深い作品が網羅されています。「クンブレス」はカーネギー・メロン大学のシンフォニー・バンドによる委嘱作で、バラダがジュリアードの学生だった頃に取り組んでいたトーン・クラスター(色んな音を同時に発する和音のようなもの、音の固まり)の要素も交えた問題作。この曲に敢えて「交響曲」と名づけたバラダの意図も面白いものです。同じくカーネギー・メロン大学の同窓会から委嘱されたユニークな「協奏曲」の冒頭部分は「ピンポン」からヒントを得たもの。「チェロの協奏曲」はカタロニア出身のチェリスト、ガスパール・カサドから委嘱された作品で、新古典派風の要素を持っています。ごく最近の作品である「ヴィオラ協奏曲」はまたもや不可解な音に彩られた作品ですが、根底にはカタロニア民謡が仕込まれているのです。「10の楽器のためのソナタ」も、まるで刑事ドラマのサウンド・トラックのような音の羅列が続きますが、彼自身によれば「ソナタという言葉には音片という意味がある」ということで、やはり一筋縄ではいかない音楽と言えるでしょう。(2015/08/26 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.573064

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    ブルーサ:管弦楽作品集 3 (ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管/ルスティオーニ)

    1954年ミラノ生まれの女性作曲家、ブルーサ(1954-)の管弦楽作品集の第3集となります。第2集がリリースされてから既に10年以上の年月が経過していますが、その間に彼女の知名度が上がったか?といえば、それは答えに窮する質問であると言えましょうか。第1集、第2集は比較的わかりやすい曲が多かったように思いますが、この盤の中心は「交響曲第1番」であり、これは彼女がミラノ音楽院を卒業してから最初に手がけた大オーケストラのための作品で、基本的なソナタ形式に則りながら、ショスタコーヴィチやウォルトンを想起させる力強い音楽が展開していくというものです。オーケストラの色彩的な響きを存分に活かしながら、苦しみや悲しみの感情を盛り込まれた堂々たる世界が広がっていきます。神話や文学などにも造詣の深い彼女らしい作品である「交響詩メルリン」も聴き所。円卓の騎士物語に登場する魔法使いマーリンを題材にしたこの曲は、伝統的な音楽の形式からは解き放たれ、様々な楽器のセクションとパーカッションの応酬が見事な生き生きとした音楽に仕上がっています。第3集では、オーケストラも指揮者も刷新して、新たな取り組みとなっているところも興味深いです。(2015/05/27 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.573437

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    バラダ:交響曲第6番/3つのチェロと管弦楽のための協奏曲/鋼鉄交響曲(ロペス=コボス/イェンセン)

    一部のファンの間では、バラダの音楽は「ロマンティックな前衛」とみなされているのだそうです。しかし、これまでの彼の作品を一瞥すると(例えば「交響的悲劇"無"」…8.557343など)どちらかといえば、ひたすら刺激的な音に満ちているように思うのですがどうでしょう?それは、彼の音楽には様々な主題があり、それは時には死であり、創造であり、自然を模倣したり、神への抗いであったりと、目が回るほどのアイデアに満ちているためだと思われます。このアルバムに収録された3つの作品も、そんな曲ばかりです。交響曲第6番は「スペイン市民戦争の罪のない犠牲者に捧げる」とバラダ自身が語るように、国の無慈悲な戦いと、それに巻き込まれた人々の悲劇を描いたものです。2つの派閥の戦いは、どちらもが勝者であり、また敗者だったのです。「ドイツ協奏曲」はここで演奏している3人のチェリスト及びベルリン放送交響楽団に捧げられた作品で、やはり戦争に関連付けられた内容を持っています。3人のチェリストたちは、時に個人として、時にチームとしてオーケストラに立ち向かわなくてはいけません。「鋼鉄交響曲」は、彼が訪れたピッツバーグ周辺にある工場のパワーに魅せられ書いた曲だそうですが、あのモソロフの「鉄工場」のようなあからさまな音の模倣ではなく、もっと洗練された方法を用いているのだそうです。なんと「正式な始まり」を持たない曲のため、最初はチューニングとおぼしき音が聞こえてきてびっくりです。(2015/01/28 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.573298

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    エル=コーリー:ヴァイオリン協奏曲第1番/ホルン協奏曲/クラリネット協奏曲(ネムタヌ/ゲリエ/メッシーナ)

    レバノンの作曲家、ビシャーラ・エル=コーリー(1957-)。このアルバムはNAXOSにおける第5作目の作品集です。彼は多くの場合、自然からインスピレーションを受け、その音楽の中には瞑想、回想、そして夢が含まれています。タイトルを持つ作品が多いのですが、これは特定の何かを暗示するのではなく、どちらかというと雰囲気重視であり、この3つの協奏曲もレバノンの自然風景などを想起させるものです。とは言え、ヴァイオリン協奏曲は2002年にレバノンで開催された「フランコフォニー国際機関」サミットからの委嘱作で、メシアンが提唱した「移調の限られた旋法」に基づくモティーフが使われ、神秘的な雰囲気を醸し出しています。第2楽章はそのままカデンツァで、ソリストには超絶技巧が要求されます。ホルン協奏曲は、彼が子供時代に経験した山の中の風景の思い出が織り込まれています。山の陰鬱さと雄大さは、人間の脆弱さをも描き出します。「秋の絵」も彼の記憶の中にある風景描写で、高い空の雲や東の空の色などが反映されているといいます。(2014/09/24 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.572773

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    バラダ:シンフォニア・エン・ネグロ/二重協奏曲/コロンブス(アビュール/リュナ/マラガ・フィル/コロメル)

    アメリカの偉大な人物「マーティン・ルーサー・キング」。キング牧師の名で知られるアフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者であり、1964年にはノーベル平和賞を受賞した人です。作曲家バラダ(1933-)は友人の紹介で1967年にキング牧師に会い、その思想と行動に強烈な印象を受けました。しかしその1年後、牧師が暗殺されるというニュースを知ったバラダはすぐに「黒人たちの解放」をモティーフにした作品を書き、偉人への思い出に捧げたのです。曲は民俗的であり前衛的で、バラダ自身の「平和への祈り」も内包された音楽です。メキシコ民謡を使った「二重協奏曲」はバラダの作品にしては、のどかな音楽。オペラ「コロンブス」からの抜粋である「管弦楽のための映像」は、これだけでも楽しめますが、機会があったら全曲(8.660237-38)にも耳を傾けてみてください。(2014/01/22 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.573047

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    ブロントス:交響曲第5番「我らの世界」/オーボエ協奏曲(アルナル・ゴンザレス/パルマ市バレアレス響/ブロントス)

    バルセロナの音楽一家に生まれ、父からフルートを学び、バルセロナ音楽院でフルートと作曲を学んだブロトンス(1959-)。1985年にフルブライト奨学金を授与されフロリダ州立大学に留学、やがて作曲家として125以上の作品を創り、これらは様々な賞を受賞するなど高く評価されています。また1991年からはバンクーバー交響楽団の音楽監督、指揮者として活躍、他にもいくつもの交響楽団と素晴らしい仕事をしています。そんな彼の交響曲第5番は、私たちの現代の世界を描いた問題作です。4つの楽章には、どれも「人間の弱点」が描かれ尽くされ、曲の最後にようやく希望が見出されるというもので、聴いていて何となく落ち着かなくなるのは、まあ、仕方のないことなのかもしれません。穏やかさと皮肉さが同居する「オーボエ協奏曲」は一瞬プーランクの軽妙な世界を彷彿させることでしょう。17歳の時に初稿を書いた「4つの小品」は、スペイン国立管弦楽団主催のコンクールで受賞した作品。彼の名を高めるきっかけとなった躍動感あふれる音楽です。(2013/08/21 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.573163

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    ティノコ:ラウンド・タイム/距離の深さから/探求の歌/孤独な夢想家の歌(グルベンキアン管/ミラー)

    ポルトガルの現代作曲家、ルイス・ティノコ(1969-)による"不可思議な音の世界"にご案内いたします。フランス印象派の残滓とブラジルのジャズの香り、官能性と郷愁。これらが入り混じった音楽は、これらの曲に初めて触れた人にも強烈な印象を残すことでしょう。エキゾチックで夢幻的な音の戯れ、時折訪れる破壊的なリズム、これらが混沌とした音の中に溶け合う様子は、まるで大きな望遠鏡で銀河を眺めるかのように茫洋としたものです。ソプラノ独唱を伴う3つの作品は、それぞれ違う歌手を起用することで、味わいの違いを引き立てています。実験的な手法を用いながらも、根源的な美しさを追求するというこの作曲家の独自性が良く表れた曲集と言えるでしょう。(2013/06/19 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.572981

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    ジラール:生命の輪/痴愚神礼讃/オルフェウスの結婚/寒い夜の恐怖(フェサール/ビアン/ジラール)

    アンソニー・ジラール(1959-)は現代フランスにおけるもっともユニークな作品を送り出す作曲家のひとりです。彼はフォーレ、ドビュッシーから連なる伝統を受け継ぎ、そこにミニマリズムと東洋の神秘的な要素を付け加え、独自の音楽を作り出します。彼の音楽はタイトルもとても凝っていて、例えば「痴愚神礼讃」は16世紀にロッテルダムのエラスムスが書いたエッセイのタイトルを借用していますが、それだけではなく神秘主義教団へのオマージュでもあり、ミニマル的な音楽は聴き手の正常な思考を麻痺させるかのようなものでもあります。「詩的で謎めいた」感触はこのアルバム全てを支配していて、どの曲も味わい深い余韻を残しつつ、音は消えていきます。(2013/03/20 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.572993

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    バンクス:管弦楽のための6つの小品(プラハ市フィル/イングリッシュビー)

    2004年、あのトニー・バンクスがNAXOSから管弦楽作品「セブン」(8.557466)をリリースした時は、世界中に衝撃が走ったものでした。確かに彼が作り上げたジェネシス・サウンドは、分厚い和音を駆使した攻撃的でシンフォニックなもの(ショスタコーヴィチやマーラーの影響を受けているとも)で、前作「セブン」でも実際のオーケストレーションこそ行わなかったものの、彼が描きたかった音世界がそのまま表現されているものでした。今回の新しい作品は、様々なイメージが喚起される6つの小品で、この中には誘惑や旅、英雄、試練など、わくわくするような要素が詰まっているといいます。この構想は、ジェネシスが最後のツアーを終えた2007年にはもう芽生えていたといい、次々と湧き上がるアイデアがこのような壮大な作品になりました。全ての人の期待通りの名作誕生です。(2012/05/16 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.572986

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    バラダ:カプリコス第1番、第5番/ア・リトル・ナイト・ミュージック・イン・ハーレム/レフレホス(ピエトゥ/マータ/フランコ/イベリア室内管/テメス)

    NAXOSレーベルが殊の外力を注ぐ作曲家の一人が、このバラダです。民族性と伝統、アバンギャルドと現代性。これらを融合させ(かなり)スパイスを利かせた味わいは、曲によって多少のばらつきはあるものの、まるで匂いの強いチーズのような味わいであり、好きになったら手放せない中毒性を帯びています。このカプリチョスは、どちらも偉人たちへのオマージュと銘打たれていますが、内容はギターとチェロの協奏曲風な作りです。まあ、とにかく内容がエキサイティング。まさに血わき肉躍るといった表現がぴったりです。かき鳴らされるギター、叩き付けるようなヴァイオリン。「なぜここまで?」と思うほどに激しく、胸を打つ音楽が押し寄せてきます。「子守歌」でさえ、ゆったりとしたギターの歌は不安げな弦にかき消されるかのようです。アルベニスのピアノ曲からインスピレーションを受けた「第5番」も強烈な音楽です。著しく変貌したモーツァルト風の「夜の音楽」、扇情的な「リフレクション」。ああ、もうやめられない!(2012/03/14 発売)

    レーベル名:Naxos
    カタログ番号:8.572625