~2021年2月に逝去した作曲家・尾高惇忠の管弦楽作品集~
本アルバムは、2016年および2018年に 日本フィルハーモニー交響楽団東京定期演奏会(サントリーホール)で演奏された作曲家・尾高惇忠の管弦楽作品を収録しています。
トラック1~3の「ピアノ協奏曲」は、「現代におけるピアノ協奏曲としての在り方」を問う日本初演作。作品の主要素のほとんどが示される第1楽章、クラリネットとピアノによる対話から始まり後半で短いカデンツァが登場する第2楽章、テンポの速い5拍子のリズムが特徴的なトッカータ風の第3楽章で構成されています。
トラック4~6の「交響曲『時の彼方へ』」は、仙台フィルハーモニー管弦楽団の委嘱により作曲され、2011年9月、同管弦楽団特別演奏会にて尾高忠明の指揮で初演されました。東日本大震災が起きた3月にはすでにオーケストレーションが進められており、震災を意識して作曲された作品ではありませんが、「時を越えて永遠に美しい自然、人類の平和、その存続を願う気持ち」は皆が共有しているものである、と尾高は語ります。終楽章のコーダに現れる鐘を模した8回の連打はそんな願いや祈りの象徴。ラ・ シ♭・ソ♯・シ♮・ソ♮・ド・と徐々に幅を広げていく「末広がり」の主要テーマとともに、未来の平和を祈念する作品です。
Tr.1~3 2016年3月4日、5日/日本フィルハーモニー交響楽団第678回東京定期演奏会/サントリーホール
Tr.4~6 2018年7月6日、7日/日本フィルハーモニー交響楽団第702回東京定期演奏会/サントリーホール
作曲:尾高惇忠
1944年東京生まれ。1966年東京藝術大学作曲科卒業。在学中、作曲を池内友次郎、矢代秋雄、三善晃、ピアノを安川加寿子の各氏に師事。同年9月、フランス政府給費留学生として渡仏、1970年パリ国立音楽院卒業。この間、モーリス・デュリュフレ、マルセル・ビッチュ、ジャン・クロード・アンリー、アンリー・デュティーユの各氏に師事、高等和声、対位法、追走法のクラスで一等賞を受ける。1970年に帰国後は作曲活動のかたわら、ピアニストとして室内楽、歌曲伴奏など分野で活躍。東京藝術大学作曲科、桐朋学園大学にて後進の指導に当たる。1982年「オーケストラのための“イマージュ”」で第30回尾高賞、2001年オルガンとオーケストラのための“幻想曲”で別宮賞を受賞。2012年交響曲『時の彼方へ』で第60回尾高賞。2021年2月16日、逝去。
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日本フィルハーモニー交響楽団公式サイト/e-onkyo music/mora
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