オペラ・クラシックス
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ワーグナー(1813-1883)が創り上げた壮大なる叙事詩「ニーベルングの指環」は、北欧神話を下敷きとし、欲望、愛憎、人智を超越した物語が重厚な音楽とともに描かれる大作です。全曲完成までに26年を費やしたこの作品は、演奏時間も15時間を必要としますが、1876年に書かれた序章である「ラインの黄金」は物語の入門編とも言える部分で、コンパクトに纏められた(と言っても2時間以上)ストーリーとなっています。世界中の歌劇場で上演される人気作ですが、歌手の選択から演出、オーケストラのテクニック、そして指揮者の力量など、多くの問題をクリアしない限り、名演にはならない難しい作品です。この香港フィル初の「指環」は演奏会形式で上演されたものですが、鬼才ズヴェーデンの指揮によって文句の付け所のない演奏に仕上がっています。また名バリトン、ゲルネがヴォータンを演じているところにも注目が集まりました。ちなみにジャケットデザインはこのコンサートのポスターがそのまま用いられています。(2015/12/23 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660374-75 |
子供たちに最初に観せたいオペラと言ったら何がいいでしょう?「サロメ」とか「トスカ」では人生の理不尽は学べますが、夢がありません。かと言って「フィガロの結婚」や「ルル」ではちょっと早過ぎます。そこでオススメはこのラヴェルの「子供と魔法」です。本来なら実演を観るのが一番のこのオペラ、時計やカエル、ネコ、ティーカップ、イスなど普段なら動かず、しゃべらないものたちが瞬時に命を得て、舞台狭しと動き回り、勉強がイヤになった子供に話しかけてくるのです。ラヴェル(1875-1937)が付けた音楽もまたカラフルで飛び切り幻想的。映像がなくても全く問題ありません。はらはらどきどき興奮の45分をお楽しみください。カップリングはこれまた楽しい「マ・メール・ロワ」組曲。こちらも不思議な世界が展開します。スラットキンの表情豊かな指揮は、魔法のようにステキな音楽を造りだすのです。全く、子供って乱暴で言うことを聞かなくて、そして本当は心の底から優しくて、お母さんの事が大好きで…。(2015/11/25 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660336 |
バロックから古典派の知られざるフランス歌劇を取り上げて、これらに新たな命を吹き込むことで知られるアメリカのピリオド楽器アンサンブル「オペラ・ラファイエット」。これまでにもラモー、リュリやモンシニ、ルベルなどの作品を演奏、その中にはいくつもの世界初演も含まれています。今回彼らが取り上げたのは、フィリドール(1726-1795)の歌劇「復讐する女たち」です。浮気性の男に仕返しをする女性というのは、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」を予見させるもので(モーツァルトはこのフィリドールの作品が初演された時にパリに滞在していた)、フィリドールは男女間のやりとりを、当意即妙なアリアやアンサンブルで表現し、生き生きとした作品に仕立て上げているのです。全体はコンパクトに纏められていて、歌手たちの巧みな歌唱もあり登場人物の描き分けも的確。これは確かに楽しい歌劇です。(2015/10/28 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660353 |
T.B.ドービニー&ルイ・シャルル・ケーニエ原作 ジョヴァンニ・ゲラルティーニ台本。1817年、25歳のロッシーニ(1792-1868)がたったの3か月で書き上げた歌劇「泥棒かささぎ」。当時、創設間もないミラノ・スカラ座のために書いたこの作品は、それまでのオペラ・ブッファ(滑稽で身近な素材を扱った歌劇)や、オペラ・セリア(王侯貴族のための壮大で贅沢な歌劇)とは違う素材が用いられています。それは19世紀初頭にフランスで流行していた「救出もの」であり、当時の社会情勢を反映した、庶民や農民と、彼らに不当な圧力をかける権力者との対決がモティーフであり、いわば日本における「水戸黄門」のドラマのような物語は多くの聴衆の心をとらえたのでした。この「泥棒かささぎ」もその王道を歩む物語で、無実の罪で投獄されるヒロイン、ニネッタを巡る救出ストーリーが克明に描かれています。ロッシーニの第一人者ゼッダによる、素晴らしいロッシーニをお楽しみください。(2015/06/24 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660369-71 |
「ウィリアム・テル」というと誰もが思い浮かべるのが、りんごを頭に載せて弓で射る場面。ではロッシーニ(1792-1868)の歌劇「ウィリアム・テル」というと、あの有名な序曲のみ。しかし、どちらもほんの一部でしかありません。このロッシーニの歌劇、もともとはシラーの戯曲を基にしたフランス語の台本によって書かれているので、歌唱は全てフランス語。そもそもタイトルも「ギョーム・テル」が正しく、エピソードがふんだんに盛り込まれた全4幕の4時間を越える作品です。物語は14世紀のスイス、指導者メルクタールの息子アルノールと敵対するオーストリアの王女マティルデの恋を軸に、政治的駆け引きをはさみながら物語が進んでいきます。弓の名手であるテルは伝説の人物であり、アルノールの友人です。彼はオーストリアの総督ジェスレルと敵対し、広場に飾られたジェスレルの帽子に敬礼することを拒み、その報復としてジェスレルは、テルの息子ジェミの頭上のりんごを弓で射抜くことを命ずるのです。もしかしたら、序曲とこの場面(第3幕)まででもオペラは成立するかもしれません。そう考えた周囲の人は、ロッシーニの同意を得て、第4幕を削除し、いくつかの曲を変更、追加して3幕版を作りパリで初演しました。しかし、どちらが良いのかは結局のところ永遠にわからないのです。このアルバムには、2曲の変更されたナンバーと、1831年に作られたパリ版(3幕短縮版)のフィナーレを含んでいます。(2015/04/22 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660363-66 |
1871年12月、歌劇「アイーダ」が大成功を収めた後のヴェルディ(1813-1901)は、ある意味「燃え尽き症候群」に陥ってしまったのか、名作「レクイエム」を完成させた他は、何も生み出すことができずにいました。しかし彼の才能を信頼していたリコルディ社の総帥ジューリオは、彼に新作を書かせるべく、秘密裏に作戦を立てて、台本作家ボーイトをはじめとした各関係者に声をかけました。もちろんヴェルディにはそれを悟られないように。しかしながら、まずボーイトがシェークスピアの「オセロ」に基づいた台本を完成させるも、まだまだヴェルディはオペラの作曲に取り掛かることはなく、結局、紆余曲折を経て(その間にライヴァルであったワーグナーも死去し、ヴェルディの心は折れてしまいます)、この歌劇「オテロ」が完成したのは1886年12月のことでした。出来上がったこの作品は、長い間のブランクなど全く感じさせないほどの充実したものであり、各々の登場人物の心情風景が巧みに描写された完璧な作品です。指揮者のハイダーは、最初はエディタ・グルベローヴァの伴奏者として現れ、そのうちリヒャルト・シュトラウスの研究家として名を上げ、このオビエド・フィラルモニアとも良き関係を築き、2007年には来日して素晴らしい演奏を聞かせています。オテロ役のロバート・ディーン・スミスをはじめとした歌手陣も見事です。(2014/12/24 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660357-58 |
フランス6人組の中心的人物であり、また生涯に数多くの作品を残したダリウス・ミヨー(1892-1974)。ワーグナー的な和声を嫌い、ひたすら新古典的な響きを追求し、また古典文学や神話の世界にも興味を示した彼の作品には、複雑なリズムと多調性、そして妙に整った部分が入り混じっています。この劇音楽は詩人ポール・クロデールがギリシャの三大詩人の一人アイスキュロスの「三部作」に台本をつけたものであり、アガメムノンと妻クリテムネストラの葛藤、娘エレクトラのクリテムネストラへの復讐、そして実際にクリテムネストラを手に掛けた息子オレステスの裁判-無罪判決までの一連の物語と通して、悲しみの連鎖の終結と、平和と調和への道筋を描くという壮大な物語です。曲は時として暴力的であり、至るところに直截的な響きが充満していますが、一度はまると癖になる音楽でもあるといえるでしょう。まずはこれを聞く前に、一度ギリシア神話の該当箇所に目を通しておくと、一層理解が深まるかもしれません。(2014/10/22 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660349-51 |
この作品は、マクスウェル・ディヴィス(1934-)がプリンストン大学で学んでいた1960年代から着想されていたものです。しかしそれは結局1980年代まで実現することはなく、最終的に完成、上演されたのは1987年ドイツのダルムシュタットでした。作品はさすがに彼らしく、様々な要素が内包されていて、とても一言では言い尽くせません。まさに「暴力的な多様性」を秘めた作品です。登場人物だけを取り上げてみても異様です。何しろ、テレビ広告の声や、ロック・バンドまで登場するのですから。手術台に載せられ脳の手術を受けた英雄は、その痛みや不快感をナンセンスな歌で外科医に伝え、救世主の復活はテレビコマーシャルで伝えられます。英雄は等身大の人形で、家族の中の母の役割ははカウンターテナーが受け持ちます。随所に猫の歌が挿入され、様々な楽器は調子はずれの曲を流し続けます。雑多なものが詰め込まれている風を装いながら、実は社会への痛烈な批判が込められているあたりが、この作曲家のすごいところでしょう。(2014/09/24 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660359-60 |
現在では、一部のフルート作品ばかりが知られているかに思える、ロッシーニと同時代のイタリアの作曲家サヴェリオ・メルカダンテ(1795-1870)。しかし彼が生きていた時代には、ロッシーニが早くにオペラ界から引退したことと、ベッリーニが早世したこともあって、一時期は「ヨーロッパ中で最も人気の高いオペラ作曲家」として名声を馳せていたこともあるほど、人気のあった人でもありました。しかし、すぐにヴェルディが登場し、メルカダンテのオペラ作品はほとんど忘れられてしまい、現在にいたっています。この「群盗」は、ベッリーニの名高い「清教徒」の前年に初演された作品ですが、ベッリーニ作品に見られるような甘美なアリアを多様することはしないという、自身における独自スタイルの確立を図ったものであり、当時のパリの聴衆に阿ることなく真摯で潔い音楽として仕上がっています。この上演に当たって新校訂版のスコアを作成するなど入念な準備のもと、この世界初演が実現、その結果"ニューヨーク・タイムズ誌"でも絶賛されました。(2014/08/27 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660343-44 |
マクスウェル・デイヴィス(1934-)による悪夢のような室内オペラの初演録音盤の復活です。この歌劇は、1900年に起こった「フラナン諸島、アイリーン・モア島における3人の灯台守失踪事件」を元にして、デイヴィスが想像の限りを尽くして台本を書き上げたものです。もともとアイリーン・モア島には「侵入者を歓迎しない妖精がいる」という伝説があったのですが、この付近の海は難所であったため、船の安全を確保するために1899年に灯台が建造され、3人の男たちが灯台守として勤務していました。しかし、その翌年になって、近くを通った船が連絡を取ったところ、誰も応答せず、不審に思った別の船の船員が、この灯台を調べたところ3人の姿は跡形もなく消えていたというのです。この事件については様々な憶測がなされましたが、結局のところ満足の行く答えが出ることはなく、今も真相は謎のまま。さて、このデイヴィスが用意した結末は、真相を導き出しているのでしょうか?やはり、いろいろな物が消えてしまうのは、悪霊の仕業でしょうか?それとも・・・。(2014/06/25 発売)
レーベル名 | :Naxos |
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カタログ番号 | :8.660354 |